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篠崎靖男「世界を渡り歩いた指揮者の目」

新年はクラシックでお祝い!ウィーン・フィルのコンサート、締めの2曲が最高!

文=篠崎靖男/指揮者

 それでもヨハンのデビューコンサートは大成功に終わり、翌年、母親アンナは夫に離縁状を突きつけます。その後のヨハンの大活躍はめざましく、今ではウィーンの土産物店で買うことができる絵はがきといえば、モーツァルト像と、ヨハン・シュトラウス2世像であるくらい、ウィーンを代表する人物にまでになりました。

 このように、父親の女好きが功を奏したヨハンですが、彼自身も生涯に三度も結婚しただけでなく、かなりのプレイボーイだったそうで、結局は父親似だったのです。その後、父親とも和解を果たし、一緒に協力しながら音楽活動を続けることになります。父親に妨害されたデビューコンサートであっても、最後に選んだ曲は父親の代表作『ローレライ・ラインの調べ』だったことからもわかるように、音楽家としての父親に対する尊敬がどこかにあったのだと思います。

 最後に、元日のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートに関して、アンコール後半は毎年、同じ2曲で締めくくるのが伝統です。ヨハン・シュトラウス代表作のワルツ『美しく青きドナウ』ののち、父親の『ラデツキー行進曲』を演奏するのです。父親の曲に合わせて観客が大喜びで手拍子をする最大の盛り上がりを見せ、コンサートが終わります。やはり、息子にとって父親はいつまでも偉大な存在なのです。

(文=篠崎靖男/指揮者)

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●篠﨑靖男
 桐朋学園大学卒業。1993年アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクールで最高位を受賞。その後ウィーン国立音楽大学で研鑽を積み、2000年シベリウス国際指揮者コンクール第2位受賞。
 2001年より2004年までロサンゼルス・フィルの副指揮者を務めた後、英ロンドンに本拠を移してヨーロッパを中心に活躍。ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、BBCフィルハーモニック、ボーンマス交響楽団、フランクフルト放送交響楽団、フィンランド放送交響楽団、スウェーデン放送交響楽団など、各国の主要オーケストラを指揮。
 2007年にフィンランド・キュミ・シンフォニエッタの芸術監督・首席指揮者に就任。7年半にわたり意欲的な活動でオーケストラの目覚ましい発展に尽力し、2014年7月に勇退。
 国内でも主要なオーケストラに登場。なかでも2014年9月よりミュージック・アドバイザー、2015年9月から常任指揮者を務めた静岡交響楽団では、2018年3月に退任するまで正統的なスタイルとダイナミックな指揮で観客を魅了、「新しい静響」の発展に大きな足跡を残した。
 現在は、日本はもちろん、世界中で活躍している。エガミ・アートオフィス所属
オフィシャル・ホームページ http://www.yasuoshinozaki.com/

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