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リニア、最難関工事に入る前で事故続出、難問が露呈…工事着工の3日前に地元へ通知

文=編集部

「(トンネル工事の)掘削中に出る湧水の戻し方が一行もかかれていない」

「生態系への影響などが議論されていない」

 中間報告に対して静岡県の川勝知事は12月20日、県庁で問題点をえぐり出し、地元の理解が得られるまで着工しないようJR東海に改めて求めた。中間報告は「工事で生じる湧水を大井川に戻せば中下流域の維持は可能。地下水への影響は軽微」としている。だが、肝心要の県外に流出した湧水を戻す方法については「JR東海と地元が協議する」と表記するだけにとどめていて、具体策には踏み込んでいない。

 JR東海の金子社長は12月22日の記者会見でリニア中央新幹線の開業が難しくなっているのは、「静岡工区の着工ができていないからだ」と改めて指摘した。静岡県の難波喬司副知事は同日、県庁で報道陣の取材に応じ「着工の遅れは静岡のせいではない」と強調。「JR東海の説明が不十分だったことが原因だ」と、JR東海の対応を批判した。「(中間報告書は)我々が懸念していたところは十分反映していただいた」(難波副知事)としながらも「JR東海への地元の信頼は低い」(同)と辛辣だ。JR東海と静岡県の溝は埋まっていない。

リニア工事で初の死者

 リニア中央新幹線で崩落事故は発生していたが、死者が出たのは初めてのことだ。21年10月27日午後7時20分ごろ、岐阜県中津川市瀬戸にあるリニア中央新幹線瀬戸トンネルの工事現場で崩落が起きた。岐阜県警とJR東海は「発破作業後の点検で非常口にいた5人のうち作業員2人が巻き込まれ、福井県美浜町の小板孝幸さん(44)が死亡、愛知県長久手市の男性(52)が左足を骨折する重傷を負った」と発表した。瀬戸トンネルは本線トンネルが長さ約4.4キロメートル、本線への資材搬入に使う非常口トンネルが長さ約0.6キロメートルで、19年に着工した。

 21年11月にも事故が発生した。11月8日午前8時20分ごろ伊那山知トンネル(長野県豊丘村)の工区で起きたとJR東海が発表した。斜坑と呼ばれる作業用トンネルを200メートルほど掘削した先端で、発破用の火薬を装填していた最中、作業員の1人が異常に気付き待避を指示。幅約6メートル、高さ5メートルにわたって掘削面が崩れ、待避中の50代の作業員が土砂をかぶった。右脚のふくらはぎ筋肉の炎症だった。リニア工事では17年12月、長野県中川村の県道脇で、19年4月、岐阜県中津川市の非常口トンネル入り口付近で事故が起きた。

 事故の多発に、岐阜県知事が「リニア工事中断の継続」を要望する事態に。岐阜県の古田肇知事は21年11月29日、名古屋市のJR東海本社で金子社長と会い、長野、岐阜両県のリニア中央新幹線のトンネル工事で相次いで事故が起きたことを受け、「原因究明と再発防止策が講じられるまでは岐阜県内のトンネル工事を再開しないよう」求めた。

BusinessJournal編集部

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