ITニュース
さて、こういうハラスメントですが、法律的には「受忍限度」を超えた場合に、精神的な損害賠償の対象となります。要するに、一般の人であれば我慢できる程度を超えた精神的な苦痛を与えられた場合、損害賠償を請求できるということです。この「受忍限度」とは、騒音問題や、匂いの問題などの判断基準として使われたりしています。
マリッジハラスメントや告白ハラスメントの場合、「迷惑」の程度であり、「我慢できないほど、耐え難い精神的な苦痛を味わった」とまではいえないでしょうから、ほとんどの場合、賠償金を請求できるまではいかないということです。
もっとも、たとえば、みんなが集まっている競技場や、駅前などで衆人環視の下、突然、まったく知らないような人から「好きです」「結婚してください」などと言われれば、恥ずかしいでしょうし、心の弱い人であれば耐え難い精神的な苦痛とも考えられます。
大勢の人が視聴するYouTubeなどでこういうことをすれば、とばっちりで評判が下がったり、ムダな憶測を掻き立てたりいろいろ投稿されたりするでしょうから、同じようなことが考えられます。したがって、今回のケースは、法的にもだいぶ問題がある行動だと思われます。
(文=編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)
時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。現在、神谷町にオフィスを構え、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。