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キリンHD、ミャンマー国軍系企業との合弁解消交渉が泥沼化…新たな経営リスク浮上

文=編集部

 MEHLの代理人はただちに会社清算の判断を行うよう繰り返し訴えた。裁判所は「時間が必要だ」として、12月10日は判断を示さなかった。17日に2回目、28日に3回目の聴聞が開かれたと現地報道が伝えている。

 軍の意向に沿って裁判所が判断して合弁企業の清算を早期に決める可能性が高い。MEHLは合弁会社を清算し、工場施設を国軍の息のかかった企業に安値で売却し、ビールの生産継続を狙っていると伝わる。

 一方、シンガポールでの商事仲裁は、結論を出すまでに通常1~2年かかるとみられている。キリン側に有利な審判が出ても、ミャンマー国内での清算が既成事実になっていれば、損失部分をキリンが回収することは難しくなる。

 キリンHDの磯崎社長は「22年6月末までの解決を目指す」としている。その頃までには、ミャンマー裁判所の決定が出ているとみられるからだ。合弁会社の清算が決まれば、キリンがミャンマーでビール事業を継続することは、事実上できなくなる。「ミャンマーからの撤退を正式に発表することになるだろう」(大手証券会社の食品担当のアナリスト)。

 クーデターから間もなく1年。欧州を中心とした外資系企業がミャンマーからの撤退に動き出した。独メトロや英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)が相次ぎ撤退を表明し、インド財閥のアダニ・グループも港湾開発を断念した。日本企業のミャンマーからの撤退はキリンHDが第1号になるのだろうか。

テレノールは携帯送金事業売却で合意

 ノルウェーの通信大手テレノールはミャンマーのモバイル送金事業、デジタル・マネー・ミャンマーの51%の持ち分を現地のヨマ・グループに売却することで合意した。売却額は5300万ドル(約61億円)。デジタル・マネー・ミャンマーはテレノール51%、ヨマ・グループ49%の保有で15年に設立された。テレノールは携帯通信事業も売却し、ミャンマーから撤退する方針。21年7月にレバノンの投資会社に売り渡すと発表したが、国軍の統制下にある規制当局がいまだに認可していない。

(文=編集部)

【続報】

 キリンHDは1月26日、出資するミャンマーのビール合弁会社に関して、合弁相手の国軍系企業が行っていた会社清算の申し立てを、現地の裁判所が却下した、と発表した。これにより、現地のビール会社は当面、事業を続ける見通しとなった、という。キリンは「国軍系企業が、清算の根拠となる法令を修正した上で、再度、清算を申し立てる可能性がある」としている。

 

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