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SBI、新生銀行の上場廃止→公的資金返済案は「株主平等の原則に反する」恐れ

文=編集部
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新生銀は上場廃止か

 公的資金の完済が最大の課題だ。旧日本長期信用銀行に政府から注入された公的資金のうち3500億円が返済できていない。国は保有する新生銀行株を売って公的資金を回収する必要がある。追加の国民負担を生じさせないためには新生銀行の株価を現在の3倍以上の7450円まで引き上げなければならない。

 北尾氏は昨年12月の記者会見で「7450円と3500億円をいつまでも結びつけて考えるのはおかしい」と指摘し、この返済方法を事実上、否定した。その上で新たな返済方法について「非上場化(上場廃止)の後に新しい優先株を発行する手もある」とした。金融庁などと協議し、詳細を詰めていく考えを示した。

 SBIHDが新生銀行に提示していた公的資金返済案は、SBIHDが新生銀行株を最大48%まで取得した後、新生銀行が自社株買いを実施し、市場価格(時価)で一般株主から株式を取得。SBIHDと国の議決権比率が合計9割となったところで、残る少数株主の株式を強制的に買い取った上で、国の保有株を公的資金が返済できる価格で買い戻すというものだった。

 TOBに反対の姿勢を続けていた当時の新生銀行の経営陣は「あとから高い価格で国の保有株を買い取ることを想定しているのであれば、株主平等の原則に反する」として提案を拒否した。北尾氏は公的資金の返済方法について、新たに「優先株の発行」を持ち出した。北尾氏は、この手法について、政府機関として新生銀行株を持つ預金保険機構の三井秀範理事長の発言がヒントになったと言っている。

 三井氏は昨年12月、報道各社の取材で、「非上場化による公的資金の返済」に関する質問を受けた。「コメントできない」としながらも、一般論としてどうかと問われ、「企業価値を向上させて返済するのが正攻法だ。制度上認められているので(上場廃止の)可能性はゼロではない」と答えた。

 この三井氏の発言を資料として引用し、北尾氏が非上場化を検討する考えを示したことについて、三井氏は「心外だ」と否定した。1株7450円の価値がある優先株を政府が引き受ければ、TOBで1株2000円で新生銀行株を売った株主との不平等を、きちんと理論立てて説明するのは困難だ。2000円で売った株主から7450円での買い取りを求めて新生銀行が集団訴訟を起こされる可能性もある。

 SBIHDが新生銀行を非上場化した後、優先株を発行して公的資金を返済するというウルトラCは「すぐにやるのは不可能なのだ」(関係者)とされる。SBI傘下に組み込まれた新生銀行が、公的資金のくびきから脱け出す妙案はないに等しいのだ。北尾氏は公的資金の完済に「時間をかけるつもりはない」と言い切った。数年のうちに公的資金返済の道筋をつけることができるのだろうか。

(文=編集部)

 

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