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アイリーン・スミスさん、原一男氏が語る”普通の人が追い込まれる”水俣の悲劇

文=編集部
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 原監督は、坂本さんが水俣条約(水銀に関する水俣条約)に関する活動や患者認定運動などで多忙を極めていたことを振り返り、「映画では次々に訪ねて行っているようにみえるのですが、実は1年に1人会いに行くというペースで撮影しました」と撮影時の裏話を語った。

 また水俣病患者に起こる感覚障害の原因について「脳の中枢神経説」を主張する熊本大学の浴野成生教授や二宮正医師に関しても言及。作中で二宮医師が「セックスの感覚がわからなくなる」と嘆くシーンにも触れ、原監督は「五感の感覚障害と作中では語りました。しかし、もう一つの感覚、性の感覚に関することは説明しにくかった。しかし、間違いなく大きな問題だと思う」などと述べた。また原監督は同作品に込めた思いについて次のように語った。

「これまで公害をあつかった映画は良い映画もあったんでしょうが、“被害者は正義である”という作品が多かったように思います。(水俣のように)本当に“100年間、なんの問題も解決しようとしない”という状況の中にいる時、当の被害者、当事者たちさえも“解決しない”という渦の中に巻き込まれていきます。

 この作品で、“どんな風にひとりの人間が追い詰められていくのか”というのをちゃんと描かくなくてはいけないと思っていました。映画を見た人が、じゃあ、あなたはどうするのか、行動を促すような作品にしたいと思いました」

 またアイリーンさんは一連の水俣病をめぐる市民運動の特色として以下のように強調した。

「日本の社会には良いところもあります。それは、(水俣病患者に対する)支援が根気よく続き、被害者が強くつながることです。アメリカのスリーマイル島の原発事故の際、原告らは他の原告のことは何も知りませんでした。日本では手弁当で活動する弁護士もいるのです。“つながる”ことが日本のキーワードだと思います」

 アイリーンさんは1970年代に最盛期を迎えた水俣病に関する市民運動を振り返り、「私たち70代がもう一回何かをやる、20代の人が観劇するようなことを示していかないといけない。アートやストーリーによって人は心を動かされる。原監督の作品中にあった坂本さんのインタビューは素晴らしい。(そうしたストーリーが)人間のパワーになると思う」と呼びかける。

 原監督も水俣病をめぐる国家賠償訴訟の判決が3月に出ることを踏まえ、「映画を見て少しでも多くの人に水俣の現在を知ってもらい、大きな動きにしてほしい」と語った。

 シンポジウムの全内容は下記JAJのYouTube公式アカウントからも閲覧できる。

(文=編集部)

 

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