NEW

『鎌倉殿の13人』伊東家の物語…小栗旬演じる北条義時が恋した新垣結衣は伊東の4姉妹

文=菊地浩之(経営史学者・系図研究家)
【この記事のキーワード】,

伊東家は鎌倉幕府の御家人に…傍流の工藤氏は東北に一大勢力を築く

 上記の通り北条邸を頼ってきた工藤祐経は、厄介払いされるような形で頼朝の身辺警護を命じられる。そのため、頼朝が幕府を開くと、祐経の子孫は厚遇された。

 子・伊東祐時(すけとき)が伊東を名乗って鎌倉幕府の御家人となり、日向(宮崎県)の地頭となって、その子孫は戦国時代も生きながらえ、日向飫肥(ひゅうが・おび/宮崎県日南市)藩主となった。その支流が織田信長に仕え、子孫は備中岡田(びっちゅう・おかだ/岡山県倉敷市)藩主になっている。

 また伊東家一族からは、二階堂氏、天野氏が出ている。紙幅の都合で系図には書いていないが、毛利一族として有名な吉川(きっかわ)氏、今川家臣から徳川家康に転仕し、のちに和泉岸和田(大阪府岸和田市)藩主となった岡部氏もこの一族である。

 傍流の工藤景任(かげとう)の子孫は陸奥国岩手郡(岩手県)の地頭となり、東北に大きな勢力を誇った。今でも青森県では工藤姓が多い(工藤静香や工藤夕貴の父も確か青森県出身だったはず)。奥州工藤家の祖を工藤祐経の孫とする説もあるが、おそらく偽系図であろう。

 最近では見かけないが、明治・大正の頃までは、伊東といえば、「祐◯」という名前の方が多かった。鎌倉時代以来の伝統を伝えていたのである。また、伊東・工藤姓の多くは「庵木瓜」(いおりもっこう)という家紋を使っているが、これも鎌倉時代以来の変わっていない。あまりメジャーではないけれど、それゆえに伝統を大事にする家系なのであろう。

(文=菊地浩之)

『鎌倉殿の13人』伊東家の物語…小栗旬演じる北条義時が恋した新垣結衣は伊東の4姉妹の画像5
伊東・工藤姓で多く使われている家紋・「庵木瓜」(いおりもっこう)。木瓜「もっこう」が「木工」に通じることから「木工助」の有職名を表している。
『鎌倉殿の13人』伊東家の物語…小栗旬演じる北条義時が恋した新垣結衣は伊東の4姉妹の画像6
小栗旬演じる北条義時が恋心を抱く八重は実は叔母さん……。小池栄子演じる北条政子との“元カノ今カノ対決”も、叔母さん相手だったのね……。

菊地浩之(きくち・ひろゆき)

菊地浩之(きくち・ひろゆき)

1963年、北海道札幌市に生まれる。小学6年生の時に「系図マニア」となり、勉強そっちのけで系図に没頭。1982年に國學院大學経済学部に進学、歴史系サークルに入り浸る。1986年に同大同学部を卒業、ソフトウェア会社に入社。2005年、『企業集団の形成と解体』で國學院大學から経済学博士号を授与される。著者に、『日本の15大財閥 現代企業のルーツをひもとく』(平凡社新書、2009年)、『三井・三菱・住友・芙蓉・三和・一勧 日本の六大企業集団』(角川選書、2017年)、『織田家臣団の系図』(角川新書、2019年)、『日本のエリート家系 100家の系図を繋げてみました』(パブリック・ブレイン、2021年)など多数。

情報提供はこちら

RANKING

11:30更新
  • ジャーナリズム
  • ビジネス
  • 総合