
新型コロナウイルスのパンデミックが始まってから、丸2年が経過した。ワクチン接種が進み、感染拡大に歯止めがかかったように思えたが、新たな変異株が見つかったり感染者数がリバウンドしたりと、事態は一進一退。そうした状況下において、コロナ禍以降に定着した「新しい生活様式」も、感染状況が変わるごとにマイナーチェンジしている。
生活様式もビジネスマナーも変化した2年
「2020年の4月、1回目の緊急事態宣言が発令されたときは日本中が外出を自粛し、学校もビジネスの現場も厳しい状況に陥りました。業種によっては、手も足も出せなかったところも多かったでしょう。そんな中、ビジネス界では、まずオンラインを駆使する動きが盛んになっていきました」
そう解説するのは、NPO法人日本サービスマナー協会に所属するマナー講師の森良子氏だ。森氏は「感染対策を取り入れた新しい生活様式の中で、ビジネスマナーも共に変化していった」と、この2年間を振り返る。
「第1波の頃は、オンラインの便利さや、会社以外の場所でも仕事ができるという『発見』が多かったと思います。そこに気づいた上でテレワークやネット上での交流が定着していき、やり取りをよりスムーズにするためのマナーが求められ始めたのが、2020年夏以降の第2波の頃だったと思います」(森氏)
今では当たり前に使いこなしているZoomやGoogle Meetなどのビデオ会議ツールも、最初は誰もが手探りで触っていた。しかし、1回目の緊急事態宣言が解除される頃には多くのビジネスパーソンが使い方を覚え、ウェブ上での会議や商談がビジネスシーンに組み込まれるようになっていった。
「この頃、『オンライン会議でのマナー』についての問い合わせが少しずつ増え始めました。ウェブ会議ツールにみなが慣れてきたからこそ、より円滑に、よりわかりやすく進行するための方法が現場で求められていたように思います」(同)
オンラインで人と会うことが当たり前になっていく一方で、未知のウイルスについてもデータが揃い始め、感染対策が確立していった。3密回避、ソーシャルディスタンスの確保、マスクの着用など、安心して対面で会うためのガイドラインが制定され、コロナウイルスとの共生が始まっていく。
「2021年の春くらいからは、オンラインの利便性を理解した上で、対面の方が良いケースでは直接会う機会が戻ってきました。特に新入社員の研修などは『オフラインの方が良い』という声が多かったですね。仕事柄、春は各種研修の依頼が増えるのですが、21年度は『オンとオフのどちらで研修すべきか』と悩んでいる企業さんが多かった印象を受けました」(同)
オンとオフの使い分けをスマートに行う方法
ウェブを介したやり取りの利便性は高く、うまく活用することでビジネスの幅を広げられるというメリットがある。だが、オンラインはリアルでのやり取りの代わりにはならない。時と場合によっては、やはり対面で会う方が良しとされる場面も多いのだ。オンオフそれぞれの特性や、個人のスケジュール、仕事の拠点としている場所などを踏まえ、使い分けることがベストといえよう。