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新たな成長領域を見いだした。米国で研究所を併設したオフィスの建設に乗り出す。21年冬、ボストンで地上4階建ての研究所を併設した賃貸オフィスを完成させた。23年、カリフォルニア州のサンディエゴに4棟、サンフランシスコの再開発エリアに大規模なオフィスを建設する。ボストン、サンディエゴ、サンフランシスコの3つの都市の投資額は1300億円に及ぶ。
クリーンルームなどを備えた研究所併設の賃貸オフィスは、国内では東京・葛西と新木場で手掛けるが、海外は初めてだ。先端医療の研究が進む米国で、大企業や新興企業を誘致し、新薬開発の拠点としたい考えだ。
バブル期の“米国買い”の失敗を教訓とする
三井不動産以外の不動産大手も海外投資に動いている。三菱地所は今後、海外投資に年間に2000億~2500億円を投じる予定だ。米国では物流施設やデータセンターに着目している。
東急不動産はマンハッタンの再開発事業に参画。セントラルパークの南東部の「425パーク・アベニュー」と呼ばれる高層オフィスビル(47階)を総事業費1000億円超をかけて建設した。
バブル期の1989年頃に、三菱地所がロックフェラーセンターを買収するなど、ジャパンマネーによる“米国買い”がニューヨーク市民の強い反感を買った。マンハッタンのビルをいくつも買い漁った三菱地所は、バブルの崩壊で大半のビルを売却し、多額の売却損を出した。高い授業料を払ったことになる。
三井不動産によるマンハッタンの開発プロジェクトは、バブル期の三菱地所の二の舞になる恐れはないのか。成長と株主への利益還元を両立させる好循環に入らなければ、株価の長期の上昇は絵に描いた餅に終わる。
(文=編集部)