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多摩美大、なぜ絵画学科も就職率9割の高水準?企業でアート系人材の需要高まる

取材・文=A4studio
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 では少し視点を変えて、美術を学んできた学生に共通している人材としての魅力は、どんなところなのだろうか。

美術大学の学生はどんな学科であっても作品制作で培われる観察力、思考力、課題発見力とともに課題解決力が身についていきます。“作品をつくる”というと、技術や表現などの表面的なところが注目されがちですが、実際は手を動かす前の段階が非常に重要です。

 作品制作の過程でこれまで自分になかった視点を持てるようになることで、社会に新たな価値を発信することが可能になります。ゼロからイチを生み出す力を持てるのです」(宮下氏)

時代とともにニーズが多様化、美大出身者の活躍の場は広がるばかり

 その他にも、美術大学の学生たちは大学生活のなかで自然とビジネスの場でも役立つスキルを身につけているという。

「美術大学では期末の考査として作品を発表する講評会を行います。これは学生たちが作品をクラスメイトや教員の前で披露する会なのですが、このとき自分の作品をプレゼンテーションする必要があるんです。講評会では自分の作品の着想やコンセプト、教員からの問いに対する自分の主張や考えを言語で伝達できる能力もないと、SやAなどの高評価は得られません。アート系、デザイン系を問わず、学生たちは“表現したいもの、ことはなにか”と常に自分と向き合い、問いを立て、思考を尽くして手を動かすなかで自然と言葉で伝える力も磨かれていきます。

 また、授業の時間でなくても学生たちが作品について議論していて、世間の作品や大学のギャラリーに展示してある作品について、“あの作品が素敵だった”とか“自分はこう思った”などと意見を交換しています。日本では遠慮して自分の意見をあまり言わないムードがあるなかで、積極的に問題提起ができるというのも美術大学の学生の強みかもしれませんね」(阿部氏)

 作品と向き合うにあたって感覚的な部分だけでなく、ロジカルに考える力、伝える力も鍛えられているからこそ多くの企業から求められるということなのだろう。では、美術大学の学生たちの力は、社会のどのような領域で発揮されているのだろうか。

就職率に目が行きがちかもしれませんが、専門職、総合職を問わず、大半の学生が大学で学んだ専門的な知識や技術を生かした仕事に就いていることも、本学の特徴です。昔はメーカーのデザイン職に就職する学生がとても多かったのですが、近年は社会的なニーズが多様化してデザインやアートの力が求められる機会も増えたので、学生たちは本当にさまざまな企業に就職しています。それはアート系学科でもデザイン系学科でも同じです。

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17:30更新
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