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しかし、食品添加物や残留農薬の相乗毒性は未解明で、さらに食品添加物や残留農薬、残留抗生物質の腸内細菌へのリスク評価はされていない。そして、残留ホルモン剤まみれの米国産牛豚肉や豪州産牛肉の輸入、国内流通も認められている。ゲノム編集食品も表示義務なしで流通が認められている。
このような日本政府のあり方に対して、見直しを求める世論が広がっている。たとえば日本弁護士連合会は17年12月21日、「ネオニコチノイド系農薬の使用禁止に関する意見書」を発表し、予防原則に基づいてネオネコチノイド系農薬の禁止を求めた。
では、日本が食の安全に予防原則を導入したらどうなるか。
まず第1に、発がん性が認められているグリホサートや神経毒性の懸念があるネオニコの農薬登録の抹消が想定される。また、食品添加物の相乗毒性が未解明のなかで、食品添加物の総量規制と、安全性に懸念のある食品添加物の指定削除が進んでいくであろう。さらに、残留抗生物質や残留農薬については、腸内細菌への影響評価がされていないなかで、総量規制や、懸念のある動物向け抗生物質や農薬の指定削除が想定される。
第2に、輸入牛豚肉へのホルモン剤残留を認めない世論が高まり、輸入規制が進められる。第3に、EUで実現している遺伝子組み換え食品のトレーサビリティーによる全面表示やゲノム編集食品の安全性チェックの義務化、表示の義務化がなされるであろう。
食品の安全性に関する課題が解消されるとなれば、消費者からは全面的に歓迎されるであろう。
(文=小倉正行/フリーライター)