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EVの生産台数では負けない
日産の21年の販売台数は407万台、ルノーのそれは264万台、三菱自動車は105万台。合わせて776万台である。トヨタの21年の台数の1049万台や、VWの888万台には及ばないが、これがEV(PHEV)の生産台数になると、少々話が違ってくる。
20年のこれらの電動車の生産台数は、テスラの50万台をトップに、VWが22万台、BMWが16万台、メルセデス・ベンツが15万台、そしてルノーが13万台、日産が6万台、三菱(19年)が5万台(PHEV)であった。ちなみにトヨタは5万台である。日産、ルノー、三菱の3社連合のEV(PHEV)の販売台数は計24万台となり、テスラに次いで世界第2位に躍り出る。これは日産、ルノー、三菱が連合を組むことは、十分競争力のあるEVメーカーが誕生することを意味しているのではないだろうか。
エンジンの開発をやめて資源をEVに注力
日産は日本、欧州、中国向けのエンジンの新規開発をやめる。すでに欧州向けのエンジン開発はやめている。25年から実施される排ガス規制がEVの開発費を上回る非常に厳しいものになるからである。加えて日本、中国向けのエンジン開発もやめるということだ。莫大な開発費をもつトヨタであれば、FCEVや水素エンジン、HEV等の全方位の開発が可能だろうが、いかに日産といえども一点集中しなければ激化するEV競争に勝てないというわけである。もちろん、3社連合のアライアンスもこうした事情によるものと考えられる。EV開発の盤石な基盤を作ろうというわけだ。
具体性のある3社連合のEV開発計画
そればかりか、3社連合のEV開発にはトヨタの昨年12月14日の発表に比べて、ずっと具体性がある。記者会見は豊田章男社長のトヨタへの愛が伝わるもので、「トヨタのEV突撃宣言」といってもよい内容だった。しかし、中身となると「30年時点のEVの販売台数を350万台に引き上げる」「30車種のEVを開発する」、そして「開発と設備に4兆円投じる」の3点だけであり、具体的なロードマップもなく、特にEV開発、生産増大には欠くことのできない「車載電池開発、生産」への具体的な言及はなく、電池工場の建設のみであった。
一方、日産、ルノー、三菱の3社連合では、
・リーダーとフォロアーの確立
・5種類のEV用共通プラットフォーム
・3社共通の車載電池
というEV開発の重要案件について計画を公表している。特に車載電池に関しては、全固体電池を含めて突っ込んだ発表があった。
共通プラットフォームの開発でリード
・リーダーとフォロアーの確立
たとえば日産のコンパクトカーである欧州名「マイクラ」、日本名「マーチ」の後継車をEVとして開発、欧州市場に投入する。デザインは日産、シャシーの開発と生産はルノーが担当するが、この新型EVのリーダーは日産であり、日産のブランドとして欧州で販売される。しかも「CMF B-EV」と呼ばれる共通プラットフォームを使うので、他社はそれぞれのスタイリングのボディを開発、このプラットフォームに載せ、それぞれの名前を付けて販売することが可能だ。日産は、このEVを「e-NV200」の後継車の新型「タウンスター」を含む(ルノーが生産する)日産車のラインアップのひとつとする。