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日本国際漫画賞で優秀賞のウクライナ人、オンライン授賞式に出席できず…回線が途絶

文=菅谷仁/Business Journal編集部

授賞式で受賞作品に関する講評をする赤松健氏(右から2人目、撮影=編集部)
授賞式で受賞作品に対する感想を述べる赤松健氏(右から2人目、撮影=編集部)

 赤松氏は外務省に事実を確認した話として、イラク戦争時に自衛隊がサマワに派遣された際、自衛隊が給水車に『キャプテン翼』(高橋陽一作、集英社)のイラスト描いた事例を紹介した。「(自衛隊が)攻撃を受けないどころか現地の人たちが寄ってきてくれた」と語り、「日本のエンタメコンテンツが平和を維持するための手段として、大きな役割を果たしてくれると考えている」などと述べた。

 今後、関係団体と協議の上、別個にナタリアさんに対して表彰式を行うことも検討するという。

 日本漫画家協会は2月28日、今回のロシアによるウクライナ侵攻に関し、以下のように見解を発表し、世界への拡散を呼び掛けている。世界の漫画ファンに向け赤松氏が翻訳し、自身のTwitterアカウントで公開している英語訳と合わせ、以下、全文引用する。

「私たち日本の漫画家は、ロシア連邦政府によります、ウクライナへの侵攻に大変心を痛め、速やかな武力行使の停止を願っております。

 世界で広く愛されている日本の漫画の隆盛は、第二次世界大戦の終結による、自由に漫画の描ける時代の到来とともに始まりました。戦争のない、平和な歳月こそが、今日の漫画の隆盛の礎であります。

 豊穣な日本の漫画の世界を拓かれた偉大な先人の多くは、苛烈な戦争の生存者であり、その創作の根底に『もう二度と戦争のない世界を子供たちに』という、渾身の祈りと慈愛を作品に込めました。

 それらの宝物を渡された世代が、漫画の表現者として育ち、今、世界に拡がる日本発の漫画すべてに祈りと慈悲の遺伝子が受け継がれているといっても過言ではないでしょう。

 ウクライナで、ロシアで、世界中で、日本の漫画が愛されていることは私たちにとって大きな喜びであり、その読者すべてもまた、平和の祈念の遺伝子の継承者なのです。

 私たちが愛してやまぬ、創作という行為、それにより生み出される『繋がり』や『親和』とまったく相反する、破壊、殺戮、分断等を生じさせる武力行使の速やかな停止を私たち日本の漫画家は切に望みます」

(文=菅谷仁/Business Journal編集部)

菅谷仁/Business Journal編集部

 神奈川新聞記者、創出版月刊『創』編集部員、河北新報福島総局・本社報道部東日本大震災取材班記者を経て2019年から現職。

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