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「山口組組員」だった異色の司法書士・甲村柳市氏に聞く「最近の刑務所事情」

元受刑者しか知らない刑務所での生活…入った瞬間から人権剥奪、続くコロナ大感染

構成=編集部
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――新築された施設は「ビジネスホテル並み」といわれているようですが、まだ少ないのですね。

甲村 そうですね。私の若い頃とは隔世の感がありますが、個室はまだ多くはないようです。話はそれますが、「ビジネスホテル並み」といった報道が出るから、ムショに入りたくてわざと事件を起こす者がいるのかもしれませんね。でも、やめた方がいいです。確実に後悔しますよ。

 コロナの問題で言うと、もともと医者が少ないので、シャバ以上に診察は期待できません。コロナに感染したら高熱に何日もうなされ、死ぬことも覚悟しなくてはならないでしょう。

 というか、まず施設に足を踏み入れた瞬間から人権を剝奪されます。所持品の検査で全裸にされ、食事や入浴など生きるために必要なことが極端に制限されます。被収容者同士のいじめもありますし、刑務官の嫌がらせもあります。これでもかと屈辱を受けますから、更生はまず無理ですね。

 また、最近はようやく許可されているようですが、「被収容者の顔が確認しにくくなる」という理由でマスク着用も認められていませんでした。

――広くはない舎房内で、それは危険ですね。でも受刑者は外出できませんから、感染もしにくいのではないですか?

甲村 確かに懲役(=受刑者)は外出しませんが、刑務官たちは施設外の官舎から通勤してきますし、大半は家族と同居しています。また、食材や日用品の納入業者や郵便配達、差し入れ関係の宅配業者は常に施設に出入りしていますから、当然刑務官にも接触しており、そこから感染しているのだと思います。しかも、消毒薬は禁止されているようです。アルコールが入っているものは懲役が飲む可能性があるからです。

――消毒薬などを飲む人がいるのでしょうか?

甲村 はい。ムショではいくらお金を持っていても酒は飲めませんから、「アルコールは消毒用でもいいから飲みたい」と思う者がいることを想定しているのです。もちろん、厨房にも調理用の酒はありません。

 昨年3月には、大阪刑務所の懲役が「衛生面に問題がある」としてアルコール消毒液の設置などを求めて人身保護請求をしましたが、大阪地裁堺支部は十分な感染防止策が取られているとして請求を棄却しています。入浴は毎日できないし、衛生面の劣悪さから、今後もコロナなどの集団感染は増えると思いますよ。