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決定的だったのが、足あと機能の廃止でしょう。mixiの足あとというのは自分のページを見に来てくれた人がわかる機能で、このおかげで交流が広がっていた一面もあったのですが、それも廃止されてしまうんです。その一方で、他社で人気の機能を次々に搭載していったことで、やがてmixiだけの良さが失われていきました」
そんな頃、FacebookやTwitterが国内でも勢いを増していた。
「そして、mixiの変わりようについていけなくなったユーザーはFacebookやTwitterに流れていってしまいました。余談ですがmixi上で匿名で繋がっていた人同士が、本名ベースで利用するFacebookで再会し、初めて相手の名前や職業がわかるなんてケースも結構ありましたね。
また、この頃からずっとSNSとスマホの相性の良さは指摘されていたのですが、mixiはスマホに対応するのがとにかく遅かった。最終的にスマホに対応したのはみんなが他のSNSに乗り換え終わった2010年くらいだったと思います。その頃、私も一度アプリをインストールして覗いてみたのですが、すでにユーザーはほとんどいなくなっていました。
mixiは滑り出しが好調だったこともあってか、自社の強みは自覚できていました。一方で、ユーザーがどこに価値を見出しているかを正しく理解できないまま、時代の変化を汲み取って方向性を整えることができなかったんだと思います。ですが、人と交流したいという欲求がSNSで叶うのだと、日本人に最初にわからせてくれた存在ではあったでしょうね」
圧倒的に収益が高いスマホゲーム、モンストで大成功
そうしてmixiは衰退していった。その影響でミクシィは、一時は赤字になるほど業績が落ち込むが、13年にモンストをリリース。すぐに人気ゲームの仲間入りを果たし、業績も上向きになる。
「実はSNSのmixiは最盛期でも収益性が低いことで有名だったんです。基本的に広告でしか収益がなく、その広告もターゲティングの精度が甘かったためか、単価も上げられませんでした。ですからミクシィが運営する求人サイト『FIND JOB!』で出た利益を、すべてmixiで“溶かして”いるらしいなんて噂もあったほど。
一方で、スマホゲームのビジネスは課金してくれるユーザーがいるから、SNSを運営するよりも圧倒的に収益が高いのです。そのため、SNSを運営していた会社がゲームの事業に参入するのはよくあるパターンといえるでしょう。グリーやディー・エヌ・エー、特にグリーは今や完全にゲーム会社です。グリーに関しては一時期、任天堂を超えるか? といわれるほどの勢いがあったくらい、スマホゲームの事業は儲かるんです」(高橋氏)