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オダギリジョーは“神出鬼没”…『カムカムエブリバディ』を成功させた“影の努力”とは

文=藤原三星
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絶好調だったNHK朝の連続テレビ小説『カムカムエブリバディ』の中でも印象的だったるい夫婦。圧倒的な存在感を放つオダギリジョーはもちろん、“朝ドラ史上最年長ヒロイン”48歳のふかっちゃんのかわいさたるや! (画像は同番組公式Twitterより)

 4月8日金曜、ついに最終回を迎えたNHK朝の連続テレビ小説『カムカムエブリバディ』。朝ドラ史上初の3人のヒロインが織りなす100年にわたる物語で、ラジオ英語講座とともに歩んだ祖母、母、娘の3世代がリレー形式でヒロインを演じていく、これまでの朝ドラにはあまり見られない展開であった。

 朝ドラファンの間でも「朝ドラ史上屈指の名作」とまで絶賛された本作。その第2部のヒロインであるるい(深津絵里)の夫であり、第3部のヒロインであるひなた(川栄李奈)の父親を演じたのが、オダギリジョーだ。意外にも朝ドラ出演は初だという彼だが、そのたぐいまれな存在感で、重要な役どころを飄々と演じきった。『カムカムエブリバディ』におけるオダギリの魅力を、あるテレビ誌の記者はこう語る。

「あるインタビューでオダギリさん自らが明かしていますが、この役を引き受けるかどうか非常に悩んだそうです。『僕は夜中の作品のほうがしっくりくるタイプ』『朝ドラは今まで見たことがない』というのが躊躇した理由だそうですが、確かにこれまでのオダギリさんのイメージとはかけ離れたキャスティングだと、誰もが感じたでしょうね。しかし、いざ蓋を開けてみると、ホットドッグのケチャップでいつも着ているシャツを汚してしまう……などといったおっとりしたトランぺッター役が、見事にハマった。作中での名前が『錠一郎』で通称“ジョー”ということもあり、役者としてのオダギリさんのキャラクターが、かなりいかされた役でした。

 錠一郎はるいと結婚することを決めてトランぺッターとしてもデビューが約束されていたのに、謎の病気によって突然トランペットが吹けなくなってしまう。以後、るいが回転焼きを作って家族を養っていき、錠一郎はたまに店番や手伝いはするものの、基本的には無職で、子どもに野球を教えるといったヒモのような日々を楽し気に送っています。第2部では、1960年代~70年代という時代を背景に、るいとの出会いや結婚生活が描かれたのですが、錠一郎はチューリップハットにサイケなTシャツなど、無駄におしゃれ(笑)。でもそれも、オダギリさんだからこそ成立させることができたのでしょう。

 脚本家の藤本有紀さんがオダギリさんに当て書きをしたことが、オダギリさんが最終的にこのドラマへの出演を決めるきっかけとなったそうですが、実際、こんなおしゃれなヒモ旦那役はオダギリさんにしかできないでしょうね。オダギリさんに“朝の匂い”がしないからこそ、むしろこの役にしっかりハマったのかもしれません」

「透明感ハンパない!」と話題だった深津絵里に負けていなかったオダギリジョー

 2000年にオンエアされた『仮面ライダークウガ』(テレビ朝日系)の主人公にオーディションで選ばれ、この役で大ブレイクしたオダギリジョー。以後、主演作も相当多いが、今回のように脇役でも唯一無二の存在感を際立たせるのが彼の魅力だ。

「今回の『カムカムエブリバディ』では、100年にわたる物語を半年で駆け抜けなければいけないので、結構な速度で話が展開していく。しかしオダギリさんは、トランぺッター青年から白髪交じりのお父さんまで、違和感なく演じ切ってみせた。なお、第2部のヒロインである深津絵里さんも、現在49歳ながら18歳の役を演じきり、『透明感がハンパない!』などと大きな話題となりましたが、実はオダギリさんも同じくらいすごかったと思います。常に優しいまなざしでヒロインたちを見つめ続け、重要なシーンではしっかり存在感を際立たせる。今回、“裏回し”としてこの傑作朝ドラを支えてみせた功績は大きいと思います。以前、『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)でも、オダギリさんはドラマ中盤からの出演ながら、一瞬で物語の方向性を変える存在感を発揮していましたが、このような“神出鬼没感”こそ、オダギリさんの最大の魅力なんだと思いますね」(前出・テレビ誌記者)

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オダギリジョーは主人公の五代雄介を演じ、人気を博した。「仮面ライダー」シリーズが“若手イケメン俳優の登竜門”といわれ始めたのはこの頃から? (画像は2001年に東映ビデオより発売された『仮面ライダークウガ 新春スペシャル』DVD版ジャケット)
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2021年9月〜10月にNHKで放送された『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』が帰ってくる! オダギリジョーはぐうたらな「警察犬」をきぐるみで演じているが、イケメン感は隠しきれない。(画像はNHK公式サイトより)

『カムカムエブリバディ』撮影中に、“アバンギャルドドラマ”の脚本を執筆

 一方で、俳優のみならず、監督や脚本を手掛けることもあるオダギリジョー。昨年は『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(NHK)という一風変わったドラマの脚本・演出・出演を担当し、話題となった。あるスポーツ紙の芸能担当記者はこう語る。

「NHKとは思えないほど攻めまくったドラマで、オダギリさんが長年温め続けてきたオリジナル企画をもとに制作。オダギリさんは演出と脚本だけでなく、オリバーという警察犬役で出演。主人公と視聴者にだけ、犬の着ぐるみを着たきたおじさんに見える……という設定が非常に斬新で、多彩な出演者とアグレッシブな展開で、ネットでも大盛り上がり。

 しかし、全3話と尺が短かったため、広げすぎた風呂敷をあまり回収できずに終わってしまいました。ところがオダギリさんは、『カムカムエブリバディ』の撮影期間中に大阪で、その続編の脚本を執筆したといいます。放送日は未定ですが、オンエアされたら再び注目を集めることはまず間違いないでしょう。もともとこのようなアバンギャルドな世界観こそオダギリさんの持ち味ではありますが、朝ドラであんな柔和な父親役を演じている間に、こんな攻めまくったドラマの続編を書いていたなんて、本当にふり幅の広い人なんだなと感心しましたね」

 初の朝ドラ出演となった『カムカムエブリバディ』において、これ以上ないほどの大きな爪痕を残してみせたオダギリジョー。彼が得意とする次作のアバンギャルド路線では、どんなふり幅を見せてくれるのか、期待したいところだ。

(文=藤原三星)

藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。

Twitter:@samsungfujiwara

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