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業界最大手なのに非上場、赤字の東急ハンズ買収…カインズ、強さの秘密は変な経営

文=Business Journal編集部
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 こうした大きな流れから見ても、東急ハンズの買収はイレギュラーに映る。カインズの高家正行社長は21年12月22日に開いた会見で、「これまでカインズでM&Aはしてこなかった。市場が飽和するなかで、単純な規模拡大を追求しないというのが基本だ。(東急ハンズに関しては)買収というよりパートナーとして迎え入れた。家事や料理をきっかけにカインズに来る。困りごとを解決するために東急ハンズに行くようにしたい。両者が連携し、より良い暮らしを根付かせたい」と抱負を語った。東急グループを離れたため、東急ハンズという店名を変更する可能性もある。

 ベイシアGがM&Aに経営の舵を切ったことは間違いなく、東急ハンズのM&Aが経営戦略の大きな転換点になる。

「IT小売業」を目指す

 19年、カインズとワークマンの会長を退任した嘉雄氏は現在、グループ全体の舵取りを担う。替わって嘉雄氏の長男でカインズ会長を務める土屋裕雅氏が経営の第一線に立つ。ベイシアGは持ち株会社を持たないため、裕雅会長が実質的なグループのトップと位置付けられている。

 裕雅会長は流通業界きっての改革派として知られる。カインズの社長に就任して6年目の07年、「SPA(製造小売り)宣言」をし、PBに力を入れる変革を進めた。独自性の高いPB商品をテコに安売り競争とは一線を画し、ホームセンター業界のトップの座を手に入れた。

 裕雅氏が現在、最も力を注ぐのがグループ全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。18年、カインズの高家社長と一緒にデジタル技術を駆使する小売業を目指す「IT小売業宣言」をした。19年からITエンジニアを大量採用するなどDXの組織づくりにカネも時間もかけた。

 カインズにもウイークポイントがある。郊外が主力で、男性客が圧倒的に多いことだ。都心部に店舗を持ち、趣味嗜好性や話題性の高い商品を扱う東急ハンズを手中に収めることは、経営戦略上、大きな意味を持つ。東急ハンズの来店客の男女比率は、6対4で女性のほうが多い。

 ベイシアGは東京・表参道にIT部隊の拠点を設立。10万品種に及ぶ商品が売り場のどこにあるかが一目でわかるアプリを開発するなど「IT小売業」の肉付けを急いでいる。DX戦略と東急ハンズをどう結びつけ、1プラス1を3にすることができるかだ。買収後、最初の試金石となる。

(文=Business Journal編集部)

 

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