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睡眠時間3時間、高速道路は使えない…長距離バス運転手の過酷な労働実態と事情

文=A4studio
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 次にバス、なかでも路線バスはタクシーよりは不規則性が低いとはいえ、早朝と夜に勤務が集中してしまう傾向があります。というのも、路線バスは通勤通学と帰宅の時間帯に利用者が激増するので、運行会社がその時間帯に本数を多くしているからです。運転手にとってみれば帰宅ラッシュを乗り切り午後9時に勤務が終わっても、翌朝の午前5時から勤務が始まり出勤ラッシュに突入するということが多々あるという状況。タクシー運転手と比較すると、心身への負担はバス運転手のほうが大きいかもしれません」(同)

終業後も作業? 実質3時間しか寝られないケースも

 今回改定となった「9時間」という休憩時間。一見すると充分な時間が確保できていると思えるかもしれない。だが、その内訳を紐解いていくと、運転手たちの過酷な労働実態が見えてくる。

「9時間の休憩といっても、通勤に退勤、入浴に食事、自由時間などが含まれるので、実質的な睡眠時間は4、5時間取れればいいほうでしょう。また、運転手たちは運行が終わった後に報告書を作成するのですが、そうした作業をこの休憩時間で消化しなければならない人もいるでしょうから、なかには睡眠時間が3時間ほどになってしまうという人も少なくないはずです。

 そんな毎日が続けば当然疲れとストレスは溜まり、睡眠時無呼吸症候群を発症して睡眠の質が低下することも考えられます。運行中にうたた寝をしてしまい、大きな事故につながるなんて可能性も高まるかもしれません。また、睡眠不足は心筋梗塞などの疾患にもつながりかねませんし、ストレスから乗客とのトラブルに発展する場面も出てくるでしょう」(同)

 戸崎氏は、こうした休憩時間問題の影響を一番受けやすいのは、運輸業界のなかでも長距離バスの運転手だと指摘する。

長距離バスの場合、路線バスのように昼間の時間帯は運行本数が減るといったことがあまりないので、忙しさに切れ目がないのです。さらに、この業界は不況の影響が大きく関わっており、好景気時と不景気時の収益の落差が激しいので、運行会社側は運転手を多く雇えないという問題があるのです。そのため、ここ十数年間は現状の運転手数で運行のやりくりをするほかなく、運転手たちの負担は増加の一途です。

 また、会社側は運行時の高速道路利用を推奨していますが、これはあくまで表向きという印象。実際にはコストカットを優先して、運転手たちに“高速は利用しないでほしい”という暗黙の了解的圧力がかかっているといった声も、運転手たちから挙がってきています。高速道路を使わないと運転時間が長引くため、運転手の負担増になるということは想像に難くないでしょう」(同)

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