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睡眠時間3時間、高速道路は使えない…長距離バス運転手の過酷な労働実態と事情

文=A4studio
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 運賃を値上げして、その分運転手の人数を増やせばいいと思うかもしれないが、そう簡単な問題でもないようだ。

バス会社同士の競争原理が働いているため、値上げは難しいのです。運賃を値上げして他のバス会社を利用されるようになってしまっては、自分たちの首を絞めることになってしまいますからね。そうして運賃の値上げをすることができないとなると、そのしわ寄せがジリジリと運転手たちにいってしまうというわけです。今回の休憩時間の改正に際し、当初厚労省の『最低11時間』という提案に対し、運行会社側が『運行計画が立てられない』と反発したのには、こうした背景があるのでしょう」(同)

解決策が見出せぬ「休憩時間問題」の行く末は……

 今回、厚労省の審議会が了承した「9時間」という休憩時間の決定に関して、戸崎氏はこう所感を述べる。

「とりあえず決めるものは決めなければいけないので、一旦はこの数字を折衷案的にしたのでしょう。ですがここで終わりにせず、今回の報告案で問題が改善しているのかということを精査し続けることが肝心。むしろ、コロナ禍から世界が元に戻ったときに、この案で通用するのかというのが試されるでしょう。

 また、近年は高齢者ドライバーが免許返納していく流れや、若者の免許取得率の低下が顕著になっており、公共交通機関の需要はこれまで以上に高まるはず。そうなったときに、現状の規定の微調整で本当に対応できるのかという懸念もありますが、需要が高まれば業界全体で運賃値上げに踏み切って、運転手の労働環境が改善されていく可能性もあるでしょう」(同)

 利用者の安全も脅かしかねない運転手たちの睡眠時間不足問題。休憩時間を十分に確保しようとしない運行会社側の姿勢は非情に映るかもしれないが、経営状況的に確保してあげたくてもできないという事情もあるということのようだ。こうした問題がコロナ禍でどう変貌してゆくのか、これからも注視していきたい。

(文=A4studio)

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エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。

Twitter:@a4studio_tokyo

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