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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

中尾明慶が罹患した頚椎症性神経根症とは?首から腕に痛み、日常生活に支障も

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
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治療法と予防法

「頚椎症性神経根症は、通常は保存的治療で自然に治る疾患です。気長に治療していれば数カ月で治癒することが多い病気です。腕から手の筋力低下が進行した場合や、強い痛みで仕事や日常生活が困難な場合が続く場合、手術治療を行う場合もあります」

 保存療法は、症状によっていくつかの治療法を組み合わせることもあるという。

「保存療法には、頚椎カラーを用いた首の装具療法、薬物療法などが選択されます。また、温熱療法などの物理療法なども併用することがあります。さらに、痛みがコントロールできない場合、神経ブロックを行うこともあります」

 それぞれの治療法の特徴は、以下の通りである。

○装具療法…頚椎カラーを使用し、首の安静を保ち、不良姿勢の矯正を行うことができ、痛みの軽減が期待できる。

○薬物療法

①非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)…痛みの軽減。

② 神経障害性疼痛薬…ビリビリする鋭い痛みや痺れなど神経の痛みを軽減。

③筋弛緩薬剤…首周りの筋肉の突っ張り感を和らげ、痛みを軽減。

○神経ブロック…首周りに局所麻酔薬を注射し、痛みを軽減。トリガーポイント注射は、首の痛みが強い筋肉(トリガーポイント)に注射をし、痛みを取る治療法である。そのほかには、神経根ブロックや硬膜外ブロック、星状神経節ブロックなどがあり、一部の脊椎外科の専門医やペインクリニックなどで実施されている。

○牽引療法…顎あたりにベルトを掛けて、頚椎にかかった圧力を軽減し、また首の不良姿勢を矯正することで、痛みを軽減する。牽引の方法によっては、症状が増悪することがあり、必ず主治医の支持に従い行うことが重要である。

○物理療法…ホットパックなど首の周りを温めて、血流を良くし、筋肉の突っ張り感を軽減させる。

○理学療法(運動器リハビリテーション)…理学療法士などのセラピストが、一人ひとりにあった痛みの原因を確認し、不良姿勢を直し運動を行い、根本的な原因の改善を目指して治療を行う。

 医師と相談し、根気よく治療を続けることが大切であり、同時に予防を心がけることも重要である。

「基本的には、首を後ろに反らせることを避けてください。また、背中を丸めて首に負担になる姿勢や長時間のうつむき姿勢、重いものを持つ作業を避けることも心がけてください。寝るときの体制も見直す必要があります。うつ伏せや枕が高すぎたり、低すぎることも首に負担がかかります」

 また、リモートワークにより、PCを使用する時間が長くなる傾向にある人が多くいるだろうが、上を向く作業を長くすることも首に負担がかかるため適度に休むことを心がけてほしい。

 普段から頚部に負担がかける姿勢をとることが多く、上を向くことがつらいなど頚椎症性神経根症に当てはまる症状があるという人は、早めに整形外科を受診することをお勧めする。また、姿勢と健康は大きく関連するともいわれる。普段から正しい姿勢を心がけることも大切だろう。

(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

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