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江崎グリコ、40年ぶりに社長交代、40代の長男が世襲…幹部社員の退職が相次ぐ

文=Business Journal編集部
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 ところが、18年、幹部社員の退職が相次いだ。「カテゴリーマネージメント」と呼ばれる新しい制度では、チョコレートやビスケットといった約20の商品別に分け、それぞれの組織のトップが責任を負うかたちになった。信賞必罰の制度改革で年収が100万円減となった幹部社員も出た。アメと鞭の痛みに耐えかねた幹部が辞めていったといわれている。老舗の菓子メーカーからの脱皮が、遅々として進まないことへの苛立ちが経営トップにあったのかもしれない。

 この10年間、外部人材の登用を進めてきたことは間違いない。「会社の成長にはプロが必要」との勝久氏の持論に基づく。17年3月期まで6期連続で増収増益となったのは、勝久氏が起用した途中入社組の力に負うところが大きかった。

「社内は勝久信奉者ばかり。これが面白くない悦朗さんは周囲を自ら中途採用し、いわゆる“悦朗親衛”で固めた」(元幹部)

 勝久氏寄りとみなされた生え抜きや途中入社組は閑職に追いやられ、グリコを去っていった。その後、他社で能力を開花させる幹部も出てきて、逃がした魚が大きかったことが批判された。

「能力ではなく、好き嫌いで人事権を行使するため、恐ろしくて悦朗さんに物申す社員はいない」(前出の元幹部)

 勝久氏から悦朗氏への権限譲渡策は裏目に出たといえるかもしれない。勝久氏が抜擢した途中入社組が経営を担った17年3月期の業績(売上高3532億円、営業利益243億円)がピーク。彼らが去り、悦朗氏と「悦朗親衛隊」が実権を握ると、業績は下降線をたどることになる。これにコロナ禍が追い打ちをかけた。

 中計の最終年度である21年12月期の売上高は3385億円、営業利益は193億円。中計では「売上高の年平均の成長率を5%以上」としたが、年平均成長率はマイナス1.1%。マイナス成長に転落してしまった。

「営業利益300億円以上の目標を107億円もショートするという寒々しい結果となった。勝久さんは目標達成を花道に勇退するつもりだったが、これができなくなった」(別の元幹部)

 新たに策定した24年12月期までの新中期経営計画は「売上高平均成長率3~5%、営業利益率5~10%」と明記されている。「経営理念である健康分野や海外事業を軸に次の100年へ向けた成長を目指す」ことになる。

 勝久氏は外部からスカウトしてきた人材をうまく活用して成長につなげた。今回、表舞台に立つことになった悦朗氏が親衛隊を上手にコントロールして、再び成長軌道に戻すことができるかどうかだ。トップとしての力量が問われることになる。

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