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たかぎこういち「“イケてる大先輩”が一刀両断」

アパレル業界、なぜ今、販売員の募集が急拡大?求められる即戦力&複雑化するスキル

文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師
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2.コロナ禍後に業界から求められる人材

 業界が求める人材も、コロナ禍以前とは大きな変化が見てとれる。コロナ禍前までの企業が新卒社員に求めたのは、明朗さや素直さ、前向きなコミュニケーション能力であった。その若い人材を自社内で業務を通して教育する前提での採用であったが、今、企業側が新卒社員に求めているのは、即戦力である。具体的には、店頭での販売力に加え、動画制作・編集能力までもが必須である。以前よりインターン時期は長期化し、就職時には現場でも即戦力が求められている。自身や同僚をモデルとして販売につながるネットでの画像・映像制作、配信、顧客とのコミュニケーションまで求められている。大きな変化が現実化している。

 転職者も同様で、即戦力となるスキルと業務経験がどれだけあるのかが問われており、転職希望者は自身の得意なスキルを充分に把握して転職先の情報を幅広く収集する必要がある。

まとめ

 人材の移動は、明確に業界各社の業績の勝敗や新業態の誕生を映す。百貨店系アパレル企業は残念ながら人員削減が続く一方で、大手SPA企業は積極的な採用姿勢が目立つ。雑貨、ライフスタイル系企業はコスメなどの売場拡大で求人数は増加傾向にある。サスティナビリティの浸透、価格優位性、リユース(二次流通)市場の成長は、新しい人材を必要としている。定額アパレル貸出サービスは先行企業の成長も著しい。新規参入した大丸松坂屋百貨店が運営する「AnotherADdress(アナザーアドレス)」が、想定人数の6.7倍もの会員数を集めた。予想以上の急成長も、販売員経験を活かしたスタイリング業務を拡大させている。

 人々は衣服を日常で必要とし、服飾文化の素晴らしさは豊かさの象徴である。大きな転換期に直面するアパレル・ファッション業界において、新しい人材像の求人が増大するのは間違いないであろう。まだ見ぬ輝く未来が、この混乱の先に必ず生まれてくる。

アパレル業界、なぜ今、販売員の募集が急拡大?求められる即戦力&複雑化するスキルの画像3
『アパレルは死んだのか』(たかぎこういち/総合法令出版)

たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師

カギ&アソシエイツ 代表/スタイルアドバイザー/コンサルタント(ファッション視点からの市場創造)/東京モード学園ファッションビジネス学科講師

1952年、大阪生まれ。奈良県立大学中退。大阪で服飾雑貨卸業を起業。22歳で単身渡欧後法人化代表取締役就任、1997年香港に渡り1998年、現フォリフォリジャパングループとの合併会社取締役に就任。オロビアンコ、マンハッタンポーテージ、リモワ、アニヤ・ハインドマーチなど海外ファッションブランドをプロデュースし、日本市場の成功に導く。また、第1回東京ガールズコレクションに参画。米国の有名ファッション展示会「d&a」の日本窓口なども務めた。時代に沿ったブランディング、MD手法には定評がある。2013年にファッションビジネスのコンサルティング会社「タカギ&アソシエイツ」を設立。著書に『オロビアンコの奇跡』『超入門 日・英・中 接客会話攻略ハンドブック(共著)』(共に繊研新聞社)、『一流に見える服装術』(日本実業出版社)、『アパレルは死んだのか』(総合法令出版)『アパレル業界のしくみとビジネスがしっかりわかる教科書』(技術評論社)などがある。

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