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現在の楽天モバイルは利用できる周波数帯が大手3社の6分の1程度にとどまっており、電波がつながりにくいといった現象が起きやすく、ユーザーの評価を引き下げる要因になっている。楽天はプラチナバンドを獲得することで現状を打破したい考えだ。
ただ、ドル箱であるプラチナバンドを大手3社がみすみす手放すはずはなく、今回の法改正で設定される周波数帯の有効期限をドコモは10年、KDDIは7年という長期に設定しようとしている。この主張が通れば楽天モバイルのプラチナバンド参入は大きく遅れてしまうが、23年からのプラチナバンドの利用開始を譲ることはできないため、岸田政権に食い込み、政治力で再配分を実現しようとしているというわけだ。
30年までに連結営業利益率20%超え宣言も、足元では携帯事業の赤字が足を引っ張る
楽天グループの21年12月期連結決算は、コロナ禍の巣ごもり需要でメインの楽天市場は好調なものの、楽天モバイルの携帯通信事業が基地局整備などのコストが重くのしかかり、グループ全体では1947億円の営業赤字だった。楽天は携帯事業に本格参入してから2年が経過するが、基地局整備とKDDIに支払うローミング接続料が2つの大きな赤字要因となってきた。
基地局整備については今年2月の時点で全国に4万局以上設置し、通信サービスの提供範囲を示す人口カバー率は96%を達成、当初計画を4年前倒しで実現するなど急ピッチで進めている。ローミング接続料については、屋外について23年度にKDDIとの契約を打ち切りたい考えだ。
三木谷氏は25周年式典で、2030年までに楽天グループの連結営業利益率(国際会計基準)を20%超とすることを目指すことを宣言した。携帯電話事業の早期黒字化が絶対条件となるが、目先は今秋の電波法改正法案の行方に注目が集まりそうだ。
(文=竹谷栄哉/フリージャーナリスト)
●竹谷栄哉・フリージャーナリスト。食の安全保障、証券市場をはじめ、幅広い分野をカバー。Twitterアカウントは、@eiyatt.takeya