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外国籍社員の積極的登用を謳う吉野家、外国籍を理由に採用説明会の予約をキャンセル

文=竹谷栄哉/フリージャーナリスト、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表
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弁護士「吉野家の一方的な予約キャンセルに法的な問題はない」と見解

 外国籍というだけで会社説明会の予約を一方的にキャンセルすること自体の法的な問題はないのだろうか。山岸純法律事務所の山岸純弁護士は次のように解説する。

「かつて、安保闘争などの学生運動に参加していた者の採用が拒絶された、いわゆる三菱樹脂事件で最高裁は『賃金などの労働条件について、思想などを理由に差別することは違法だが、雇入れ時に思想などを理由に拒絶することは違法ではない』旨、判断しました。したがって、国籍を理由に『採用面接を受けさせない』、要するに採用しないという企業の態度がすぐに違法となることはありません。

 例えば、内容が比較的革新的(左翼的)と言われる朝日新聞が、採用の段階において右翼的活動を行っている者を、それを理由に採用しないというのもあり得るでしょうし、日本の国防を扱う三菱重工業が外国人を採用しないというのもあり得るということです」

 その上で、今回の「連絡の不備」が起こった背景について、こう推測する。

「察するに、採用側は、本当は『別な理由』で書類選考で落としていたところ、“お祈りメール”の『テンプレート』を用意した際に、例えば『名前』を見て外国人であるという意識が残り、誤って今回の『テンプレート』を使用してしまったのではないでしょうか。“お祈りメール”は、いちいち採用希望者ごとにじっくりと考えて記載しているものではないので、『お断り』の理由を間違ったのでしょう」

 筆者も、吉野家の採用担当者が名前などの表面的な情報から「外国籍なので、どうせ採用できない」と判断し、会社説明会の予約を短絡的にキャンセルした可能性が高いと考える。吉野家は前述の役員の問題発言が発覚すると即座に当該役員を解任して火消しを図ったが、企業に外国籍やジェンダーなどに対する配慮が強く求められるという風潮をよりしっかり理解した上で企業経営に励むべきではないだろうか。役員の問題発言で株価は下落し、新商品の発表も延期になるなど実害も出ており、商品に根強い人気があったとしても、こうした問題が続けばブランドが低下しかねない。

(文=竹谷栄哉/フリージャーナリスト、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)

●竹谷栄哉・フリージャーナリスト。食の安全保障、証券市場をはじめ、幅広い分野をカバー。Twitterアカウントは、@eiyatt.takeya 。

山岸純/山岸純法律事務所・弁護士

外国籍社員の積極的登用を謳う吉野家、外国籍を理由に採用説明会の予約をキャンセルの画像2時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。現在、神谷町にオフィスを構え、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。

 

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