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世界初、レッカー車のDXを実現…進化するレッカー車と意外なレッカー業界の現状

文=二階堂運人/物流ライター
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 だが、PTOの稼働状況をモニターし、メンテナンス時期を事前に予測できるようになれば、リスクを回避することができるようになる。それを実現するのが、PTOのIoT化だ。山口氏は、誰も思いつかなかったDXへの糸口を見つけたのだ。

 PTOのIoT化は、山口氏の発案から開発に至るまでのスピードが早かった。IoTデバイスの製作を請け負ったITベンチャー、株式会社ハイパータッチの開発部長鈴木慶一朗氏は山口氏の提案を受け、小型デバイスによる機能実証機(プロトタイプ)を開発製作した。

 そしてヤマグチレッカーは2022年の4月に世界初のPTOのIoT実証テストを行い、PTOの稼働状況をリアルタイムで取得することに成功した。

世界初、レッカー車のDXを実現…進化するレッカー車と意外なレッカー業界の現状の画像3
PTOモニタリングIoTの機能実証機(プロトタイプデバイス)

 ヤマグチレッカーの、大手企業にはない軽快さと独創性が、スピーディーな開発を可能にしたのだ。現在、IoTはまだ開発途上ではあるが、多様なセンサーを取り付ければ可能性は無限大だ。

 IoTで得られたデータがビッグデータとして蓄積されていけば、レッカー車の稼働頻度から、どのような場所や時間帯、気候変化などで事故が発生しやすくなるかをAIによって分析し、レッカー車の配置を予測できるようになるかもしれない。また、一般ドライバーに対して事故の多発予測データを提供することで、事故抑止にもつながることも期待できるだろう。

 レッカー車のDX化が加速すれば、我が国の交通事故抑止に多大な貢献をする可能性がある。そういう意味でもヤマグチレッカーのDXへの挑戦は、極めて大きな意義があるといえるだろう。

レッカー・ロードサービス業界の現状

 ヤマグチレッカーが製作するレッカー車の性能進化も加速している。

 コロナ禍により発表が遅れたが、『ジャパントラックショー2022』では、ヤマグチレッカーが製作し世界に先駆けて開発された、日本最大の75t大型レッカー車の発表もある。

 この車両によって、これまで牽引困難だった超大型クレーンのレッカーや、トンネル内で発生する横転事故等への対応も可能となるのだ。近年大型化するトレーラーの事故対応や、災害時に求められる大規模な緊急対応など、広範囲な活躍が大いに期待される。

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17:30更新
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