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楽天モバイル解約者が他キャリアの草刈り場状態…0円廃止で携帯電話事業に暗雲

文=竹谷栄哉/フリージャーナリスト
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 国内携帯電話市場が飽和状態のなか、楽天からの流入組が通信料金をまったく払わないフリーライダーであったとしても、KDDIやソフトバンクにとっては自社のECや金融といった非通信分野の利用者となってくれるメリットはある。KDDIがpovoの利用者がクレジットカード「au PAYカード」に加入すれば最大10GBを還元するキャンペーンを実施したことからもその狙いは明らかで、ソフトバンクもPayPayやヤフオクなどの利用者増につなげたい考えだ。

楽天モバイルの大赤字で「0円廃止」も、ユーザー離れは長期的にはマイナスとの見方

 そもそも楽天モバイルが今回の「0円廃止」に踏み切ったのは、収益構造の改善のためだった。楽天グループの22年1〜3月期連結決算では、携帯電話事業部門で携帯基地局の建設費用がかさみ1350億円の大幅な営業赤字となったため、使用容量が1GB未満で通信料収入が得られないばかりか回線使用などでコストがかかるユーザーを切り捨てる決断をした。楽天モバイルは事業を本格的に開始してから2年が経ち、人口カバー率97%を達成、契約者数が500万人を超えるなど事業会社として一定の成長を遂げたことも大きい。

 そもそも楽天グループがなぜ大赤字を垂れながしながら携帯電話事業を拡大してきたかといえば、楽天市場、楽天ポイントといった楽天経済圏を拡大するという目的が大前提にあったはずだ。短期的にはフリーライダーを切り捨てることが収益改善につながるのは間違いないが、長期的には経済圏が伸び悩む原因となりはしないか。

 楽天の株価も「0円廃止」の新料金プランを発表した13日は上昇したが、翌営業日の16日から23日までは下落が続いている。市場関係者は「当初は収益改善につながるとの評価で買いが優勢になったが、連日他社への乗り換えが報じられると今後楽天モバイルの新規契約が伸び悩むのではないかとの懸念が強まり、次第に売りが優勢になった」と分析する。

 前回も指摘したが、今回楽天モバイルから解約が相次いだのは、新料金プランの打ち出し方で三木谷氏が「ずっと0円で使われても困る」とユーザーを突き放すような印象を与えてしまったことが大きい。料金やサービスが基本的に各社横並びに近いため、ユーザーの信頼を損ねたことは今後の携帯電話事業の運営に少なくない支障をきたしそうだ。

(文=竹谷栄哉/フリージャーナリスト)

●竹谷栄哉・フリージャーナリスト。食の安全保障、証券市場をはじめ、幅広い分野をカバー。Twitterアカウントは、@eiyatt.takeya 。

 

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