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これまで、ロシアの大手航空会社は、西側の大手航空会社と遜色のない安全性の実績を誇ってきたのだが、パーツ不足、メーカーの技術サポートの停止により、安全性低下の懸念は深まりつつある。
カウントダウン 早晩増加する航空機の運航停止
一連の欧米の制裁発動を受け、3月にロシアのボリソフ副首相は、今後ロシア国産の旅客機MC-21(160~200席クラス)と、スホーイ・スーパージェット(100席クラス)の開発を加速して、国内の航空機を西側機材から置き換えていくと表明している。しかし、事はそう簡単ではない。グローバル化した現在では、航空機の開発は、エンジン、電子部品等、世界各国の先端技術を統合することで成立している。ロシアは、西側部品を排除し新機材をすべて純国産の部品で開発しようとしているのだが、優秀な西側部品を国産で置き換えることは一朝一夕にはいかず、開発に長い年月を要してしまうだろう。
西側の専門家は、パーツ不足により航空機が運航できなくなる状況の到来はカウントダウンの段階に入っており、遅かれ早かれ、航空機が運航停止するケースが頻発すると観測している。ロシア製のスホーイ・スーパージェットですら、そのエンジンはフランス スネクマ社との合弁会社製であるため、いずれエンジン・パーツ不足で運航停止に追い込まれると見られている。
ロシアの民間航空の市場規模は世界第11位と大きいが、徐々に便数が制限され航空市場はかなり縮小されてしまうだろう。広い国土での有効な交通手段である民間航空が縮小することは、ロシア経済にとってさらなる打撃となるに違いない。
(文=橋本安男/航空経営研究所主席研究員、桜美林大学航空・マネジメント学群客員教授)
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