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小林敦志「自動車大激変!」

日産&三菱の「軽EV」はEV普及が進まない日本の車事情を変えるのか?

文=小林敦志/フリー編集記者
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47万円の低価格で衝撃を与えた初代アルト

 ただし、今回登場した2車は“軽自動車=街乗り”と割り切り、1回の満充電による航続距離は日産「リーフ」の半分ほどになっている。しかし、今や軽自動車は高速道路でもよく見かけ、遠乗りユースも目立っている。“使い方限定”にも見られてしまう軽BEVは、16歳で運転できた軽自動車創世期に“先祖返り”したようにも見えてしまう。

“自宅に充電設備の設置が可能な戸建て住宅に住み、ミニバンなどファーストカーを持ち、セカンドカーとして軽自動車を所有するお客”あたりに的を絞っているような話も販売現場で聞かれたが、その話を聞いて、なんだか47万円という価格で衝撃を与えた(安い)初代「スズキ アルト」がデビューした頃のことを思い出した。衝撃的なデビューを果たし、軽自動車のセカンドカーニーズを見事に開拓したという点では、日本のカーライフに強いインパクトを与えたといっていいだろう。しかし、今回の軽BEVにそこまでのインパクトがあるかといえば、現段階ではそこまで世の中に衝撃は与えていないように見える。

 つまり、欧州BEVでは高級ブランドモデルも多く価格がネックになるし、そもそも日系モデルユーザーが輸入車へ乗り換えるのはまだまだ敷居が高い。といって、日系モデルでBEVといえばほとんど存在しないに等しい。その中で「なんかおもしろいBEVが出てきた」と思わせるのが、今回の新型軽規格BEVではないかと考えている。

 テレビコマーシャルなどを見ていると、ヤングファミリーなど若年層へ強くアピールしようとしているが、意外なほど年配ドライバーも電動車に注目している。そして、年配層は愛車のダウンサイズにも積極的である。しかも、最新トレンド製品としての“ワクワク”感については敏感に反応し、今時の若者よりクルマに対する思い入れが強いので、年配層のドライバーの方が軽規格BEVの存在に注目するといってもいいだろう。

 最近、「ライズ」や「ヤリス クロス」などの登録コンパクトSUVあたりが年配層にもウケているが、これも今までセダンなどを乗ってきた中で、ワクワクした気持ちで運転できそうだと思わせるところも後押ししているのは間違いないものと考えている。

 今回の軽規格BEVは、遅々として進まない日本の車両電動化の突破口になるのではないかと筆者は期待しているのだが、そのあたりの事情については次回に詳述したい。

小林敦志/フリー編集記者

1967年北海道生まれ。新車ディーラーのセールスマンを社会人スタートとし、その後新車購入情報誌編集長などを経て2011年よりフリーとなる。

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