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書かないでと言った…西原理恵子の娘『毎日かあさん』無断描写に苦痛訴え物議

協力=片田珠美/精神科医
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子どもを攻撃せずにはいられない親 (PHP新書)

 また、私が母との葛藤を書いたとき、母はすでに高齢でしたが、『毎日かあさん』が新聞に連載されていたときも、単行本として出版されたときも、西原さんの娘さんは未成年でした。ですから、その後の人生に与えた影響は比べものにならないくらい大きかったはずです。そう考えると、娘さんがブログに『子どもを傷つけること、それは未来を傷つけることだ』と書いているのも、なるほどとうなずけます。

 もちろん、母親の西原さんには娘を傷つけようとするつもりはなかったと思います。ただ、娘のためによかれと思ってやったことが結果的に傷つけてしまう場合もあります。たとえば、娘さんがブログに書いた内容によれば、12歳のときに『ブスだからという理由で下手な二重にされ』たということです。事実とすれば、12歳の娘に整形手術を受けさせることが果たして妥当なのかと疑問を抱かずにはいられません。娘のためによかれと思って西原さんが整形手術を受けさせたのかもしれませんが、そのことによって娘さんが自分の生まれつきの容姿を否定されたように感じた可能性もあります。

 この件に限らず、娘さんは母親の西原さんに否定され続けてきたと感じているような印象を受けます。たとえ母親の側に娘を意識的に否定するつもりがなかったとしても、娘のほうが『無条件の愛情』を注いでもらってないと感じると、自分が否定されたように受け止めやすいのです。

 そのせいでしょうか、娘さんは自己肯定感が低く、母親への抑圧された怒りを抱えているように見えます。毎日のように過呼吸を起こし、リストカットを繰り返していた時期があるということです。このようにリストカットを繰り返すのは、母親に直接怒りをぶつけられないので、自分の手首を母親の代理物とみなして傷つけ、怒りを発散すると同時に復讐願望を満たそうとするためと考えられます。

 また、精神科で『サインバルタをもらって帰った』こともあるようです。サインバルタは、セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬( SNRI )の一種で、うつ病やうつ状態に投与されます。この薬を処方されたのが事実とすれば、うつだった可能姓があります。自己肯定感が低いとうつになりやすいので、もしかしたら母親から否定され続けてきたように感じていることが影響しているのかもしれません。

 もし今でも同様の症状があるのなら、きちんと治療を受けていただきたいと思います。ただ、服薬だけでは不十分で、家族のサポートも必要です。母親から受け入れてもらい、『無条件の愛情』を注いでもらったという感覚を持てることが、娘さんにとって必要なのではないでしょうか」

(協力=片田珠美/精神科医)

 

片田珠美/精神科医

片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

Twitter:@tamamineko

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