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博士号取得でも人文系は2割の人が年収200万円未満?悲観論の嘘と現実

取材・文=文月/A4studio
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「現在、博士課程修了後の就職は、難しさという点で修士課程修了後の場合とあまり変わりはありません。。たしかに博士課程学生の就活は学部生と比べて就職へのロールモデルがあまり確立されておらず、周囲に同学年の就活生が少ない場合もあるため、就活をいつ、どのように始めるかに気付きにくい部分はあります。また、自身の専門性との一致度に強くこだわって仕事を探すと、分野によっては産業界に対応する仕事が非常に少ない、という壁に阻まれる場合もあります。そうした場合にどうすれば良いかを自力で解決していくのは時間も掛かり、かつ難しいので、大学のキャリアセンターや就職課の支援をしっかりと受けることが重要です。これらの注意点を踏まえ、準備をして就活に臨むことができれば、“自身の専門性以外の場所にも沢山の可能性がある”と実感する博士課程学生は多いと思います」(同)

就職はできるものの、やりたいことをできない人が大多数

 気になるのは博士課程修了後の主な就職先だ。

「文科省が実施した令和3年度の『学校基本調査』によると、理学・工学系の博士課程学生は産業界の研究職への就職が多数を占めており、次いで製造技術者、教員と続きます。また、人文科学・社会科学系は教員の割合が多く、その次に産業界の研究職、事務従事者が主な就職先となっていますね。

 企業の研究職は設備や環境が充実しているところも多く、自分の知的好奇心を満たすことができそうだということで納得して就職される博士課程学生は多いです。また、ある博士課程学生は自分の専門分野とは直接関係ない企業に就職したものの、大学院時代に培ったデータ分析の経験を活かし、データサイエンティストとして活躍しているという事例もあります」(同)

 現実的な問題として、博士課程の就職口は特に限られてはいないのか。

「ただ自分が就きたい職業に就けるかどうかは別問題ですね。就職口があるとはいえ、博士課程学生の少なくない割合の方は就職活動以前においては、大学のポストを志望しています。ですが、大学の採用枠はかなり限られており、非常に狭き門です。大学の定年制ポストに就くためには多くの場合、3-5年の任期付のポストで何年も論文を執筆し続けたり、学会で発表したりと実績を積み重ね続けながら競争をしていく必要があります。

 またライフサイエンス系、バイオベンチャー系の研究のように、一部にニーズが集中する分野は、専門性に合致する就職先に着任できる割合が低くなります。文科省発表の『産業界のニーズの実態に係る調査結果』では企業ニーズと研究者数の割合が出ており、職種によって研究者数がかなり違っています。そのため、一部の専攻分野を学ぶ博士課程学生はアカデミア、研究所以外の就職先を視野に入れなくてはいけません」(同)

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23:30更新
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