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未使用の休暇を積み立て…ライフネット生命、独自のナイチンゲールファンド休暇

文=鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

――ナイチンゲールファンド休暇は、他の休暇とどう違うのでしょうか。

関根 この制度は、全社員のナイチンゲール休暇の未使用分の休暇を会社側が一定期間積み立てて、がんの患者に付与するためです。いわば助け合い休暇というわけです。そもそも生命保険はお互いが助け合うという相互扶助の精神で成り立っています。この精神を人事制度に応用し、社員がお互いに支え合う制度をつくることを目的としています。

――保険業界だけではなく、他業界でもあまり類をみない休暇だと思います。社内の反響はいかがでしたか?

関根 社員からは「安心して働ける」「家族からも社員のことを大切にしてくれている会社なんだねと言われた」などの声があがっています。病気治療のために使っていただく以外に、休職の準備のために使うことも可能です。このファンドを導入してから、人事部に病気の相談をしてくれる社員が増えてきました。治療や就業をサポートしたいという人事部のメッセージをくみ取ってもらえて、嬉しいですね。

 病気のことを誰にも明かさずに辞める決断をしてしまうのではなく、事前に人事部に相談をして欲しいです。この制度ができたことで、病気を理由にした突然の退職はほぼ無い認識です。制度利用のお問い合わせをいただいた時は、気軽に話してもらえるように、自然体で話を聞いています。利用時は、人事部に申し出ていただき、診断書を提出してもらっています。

未使用の休暇を積み立て…ライフネット生命、独自のナイチンゲールファンド休暇の画像4

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命の危機のある病状に拡大して運用

――最近ではメンタルが不安定な方も増えてきていますし、がん以外にも長期入院をする場合もあります。ケガや交通事故の可能性もあります。こうした疾病などは対象にはされないのでしょうか。

関根 がんだけで事足りるのかという議論は当然出ました。半面、病気に対しての線引きは重要だと考えもしました。そこで人事部と産業医で相談し、対象を命の危機のある病状(心疾患、脳疾患、メンタル関係、その他)に拡大して運用しています。規定上はがんに特化していますが、重篤な病気が対象ということは社内にアナウンスしています。

――20年、21年には19年度の休暇を継続し、さらにアニバーサリー休暇を加えたのですね。アニバーサリーとは何ですか。

関根 これは従業員本人の価値観で特別な日とした記念日で1日間となっています。パートナーとの記念日やお子さんのお誕生日など、いろんなアニバーサリーがあることを痛感しました。

――助け合う制度としてはいいのかもしれませんが、人事部にとっては、実際は業務的に面倒だったりするのですか。

関根 それがまったくありません。内規の慶弔休暇の欄に「その他、会社が定めたものとする」と加筆した上で、当該特別休暇に関する内規を参照させる形で定めればいいだけです。費用も特にかかりません。一人ひとりの有給休暇の管理はきちんとしていますが、余った特別有給を会社が預かるという意味では、管理が軽減された部分は多少なりともあるように思います。

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23:30更新
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