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配当が止まるリスクも…高配当で人気殺到「インフラファンド市場」が危ない

文=松崎隆司/経済ジャーナリスト

「現状、インフラファンドの保有資産はFITが適用されている太陽光発電所に限られています。太陽光発電の場合はヒストリカルデータ(過去の取引データ)があり、日照量に基づく発電量の予測ができるので、FIT制度で売電価格が固定されていれば分配金を予測することが可能となります。そのためインフラファンドの投資の対象になっているのですが、太陽光発電以外の風力、地熱、水力などの電源は発電量の予測をするのも容易ではなく、インフラファンドの投資家が求めている安定配当の実現が難しく、インフラファンドが保有できていません。

 インフラファンドは、インフラ、特に再生可能エネルギー発電所への投資に投資家の資金を活用することで再生可能エネルギーの拡大を進めようとする仕組みでしたが、現在のインフラファンドは、FITの適用された太陽光発電所を買い集め、FITという国民負担を原資として、インフラファンドの投資家に安定配当を行う投資商品になってしまっています」

 そのためインフラファンドを上場させる企業は、太陽光発電施設の開発企業に集約された。それだけではない。分配金の原資である収益の大半はFITによって、電力会社の利用者すなわち国民から補てんされた資金だ。

 FITの固定買取価格は12年には固定価格40円(市場価格14.4円)だったのが、21年には12円(同11.2円)と年を追うごとに引き下げられているため太陽光発電施設もまた収益は圧迫されているから大半のところは上場どころではないのである。

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 そのためインフラファンド市場が創設された当初の16年と17年には年間4件、18年から20年の3年間は年間3件、計7件が上場されているが、21年以降は1件も上場されていない。

 しかもFIT契約は20年という期限がある。20年を過ぎればこうした補助はなくなる。すでに12年のFIT制度発足後初期段階で開発された発電所は、FIT期間が残り11年程度になっている。さらにFITの対象となる資産は、インフラファンドの法人税が実質免除される要件である特定資産として認められているために法人税も20年間は免除されているが、これもなくなる。つまり20年間をすぎれば高配当を維持していくことはできなくなるということだ。問題は20年後のことだけではない。

「高配当をねん出するために蛸足配当に」

 すでに上場している7社は利回り概ね6%前後という高配当をねん出するためには最終利益だけで賄うことができず、蛸足配当になってしまっているのである。

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「インフラ7社はいずれも利回り6%前後という、不動産リート(4%前後)に比べるとかなり高い配当を維持していますが、いずれも純利益を超えて、減価償却に基づくキャッシュフローを原資とした利益超過配当を実施しています。配当で投資口価格が維持されているために配当性向を変えづらく、7社横にらみのまま減価償却費からの蛸足配当(編集部注:資本の払い戻し、利益超過配当)を続けているのです」(証券業界関係者)

 蛸足配当とは、企業が原資となる十分な利益がないために、利益からの配当に加えて、投資家から預かった資本を払い戻すことで過分な配当金を出すことだ。見た目には配当金が高いため魅力的に感じられるが、実際は資本を取り崩したりして配当金に回しているだけで、永続的に実施できるわけではない。7社すべてが最終利益を超える配当を行っていることを見れば、いずれは行き詰ってしまうのは目に見えている。

 17年3月にインフラファンドとして3番目に上場した日本再生可能エネルギーインフラ投資法人(日本再生エネ)は、22年5月12日にそのスポンサーであるリニューアブル・ジャパンの子会社を通じたTOBにより、非公開化をすることを決定した。上場から約5年で市場から姿を消す見通しだ。その理由について同社の公開買付届出書では、当該インフラ投資法人が「少なくとも中長期的に、安定的なキャッシュフローの維持・向上が得られなくなる可能性があり、かかるリスクが顕在化した場合、対象者において安定的な収益性の維持・向上が困難になり、分配金の減少が生じる可能性がある」と謳っている。

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