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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

22年度、業績上方修正の業種予想…石油・石炭、電気・ガスは大幅増収

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

経常利益大幅上方修正期待は「運輸」「サービス」「生産用機械」

 続いて、6月短観の経常利益計画から大幅上方修正が期待される業種を見通してみよう(資料4)。結果を見ると、上方修正率が最も大きいのは新型コロナに対する国民の恐怖心低下や観光支援策再開等による経済正常化を期待する「運輸・郵便」「対個人サービス」や「宿泊・飲食サービス」となる。それに続くのが、中国のロックダウン解除に伴う供給増が期待される「生産用機械」や「繊維」となる。

 このように、次の四半期決算で経常利益見通しの上方修正が期待される業種としては、新型コロナに対する国民の恐怖心低下や観光支援策再開等よる経済正常化期待の恩恵を受けることが期待されるサービス関連産業に加えて、中国ロックダウンの解除の恩恵を受けやすい製造関連等が指摘できる。

22年度、業績上方修正の業種予想…石油・石炭、電気・ガスは大幅増収の画像4

為替レートの変動で業績が修正される可能性も

 なお、6月短観の収益計画では、企業の想定為替レートも公表されることから、業種別の想定為替レートも今後の業績見通しの修正の可能性を読み解く手がかりとして注目したい。資料5にて実際に今年度の想定為替レートを確認すると、大企業製造業における事業計画の前提となる想定為替レートはドル円で116.6円/ドル、ユーロ円で130.1円/ユーロとなっている。しかし、足元のドル円レートは130円台を大きく突破している。中でも、製造業で足元のドル円レートよりも特に円高で今期の為替レートを想定しているのが「宿泊・飲食サービス」の113.0円/ドル、「情報サービス」の114.9円/ドルとなっている。

 なお、輸入依存度の高い内需関連産業は円安でむしろ業績の下押し要因となる企業も含まれており注意が必要だが、特に輸出関連の製造業が116円/ドル台と円高気味の想定をしていることに注目すべきだろう。

 以上の結果を踏まえれば、今後はコロナの感染状況やロシアのウクライナ侵攻の動向、更には米国の景気後退懸念などに伴うリスクオフを通じて、各国中銀がこれまでよりも金融引き締めに後ろ向きな姿勢を示す等して為替レートの水準が円高方向に進まなければ、こうした今期の為替レートを円高方向に想定している業種に属する企業を中心に今期業績が修正される可能性があることにも注目すべきだろう。

(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)

22年度、業績上方修正の業種予想…石油・石炭、電気・ガスは大幅増収の画像5

永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年第一生命保険入社。98年日本経済研究センター出向。2000年4月第一生命経済研究所経済調査部。16年4月より現職。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。
https://www.dlri.co.jp/members/nagahama.html

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