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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

日本のスクリーンは韓国サムスンに技術だけ取られ、売上高シェアも逆転された

文=湯之上隆/微細加工研究所所長
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 さらに2010年にはスクリーンはSEMESの持ち株を売却し、SEMESはサムスン電子の100%子会社となった。恐らく、スクリーンがすすんで売却したのではなく、サムスン電子から圧力をかけられて売却せざるを得ない状態になったのだろう。その後、サムスン電子の洗浄装置はすべてSEMES製となり、スクリーンは1台もサムスン電子に装置を供給できなくなったという話が伝わってきた。要するに、スクリーンは軒を貸して母屋を乗っ取られてしまったわけだ。そして、2021年にとうとう装置の売上高で、僅差ではあるがSEMESがスクリーンを追い越してしまったというわけでである。

洗浄装置におけるパラダイムシフト

 スクリーンもSEMESも、洗浄装置を主力のビジネスとしている。その洗浄装置については2008年にパラダイムシフトが起きた(図3)。洗浄装置には25~100枚のシリコンウエハを同時に洗浄するウエットステーション(またはバッチ式洗浄装置)と、ウエハを1枚ずつ洗浄するスプレー洗浄装置(枚葉式洗浄装置)の2種類がある。

日本のスクリーンは韓国サムスンに技術だけ取られ、売上高シェアも逆転されたの画像4

 バッチ式は1時間当たりの処理枚数(スループット)が大きいが、洗浄で剥がれたパーティクルがウエハに再付着するという問題がある。一方、枚葉式はパーティクルの再付着の問題はないが、スループットが悪い。

 以上の理由から、2007年まではスループット優先で、バッチ式が主流だった。ところが、2008年以降、バッチ式に替わって枚葉式が主流になってきた。この原因は次の通りである。

 枚葉式のスループットを向上させるために、一つの洗浄装置のプラットフォームに洗浄槽を4槽、8槽、16槽、そして32槽と増やしていった。その結果、枚葉式のスループットがバッチ式を追い越してしまったのである。となると、パーティクルの再付着が起きるバッチ式を使う理由はない。このようにして、枚葉式が洗浄装置の主流になったのである。したがって、洗浄装置ビジネスとしては、枚葉式でどれだけシェアを占めることができるかということが重要になってくる。

枚葉式洗浄装置の企業別シェア

 図4に、枚葉式洗浄装置の出荷額と企業別シェアの推移を示す。2003年頃からスクリーンのシェアが急増していくが、洗浄装置にパラダイムシフトが起きた直後の2009年に、スクリーンのシェアは約70%でピークアウトした。その後、上下動しながらスクリーンのシェアは低下していき、2021年には最盛期の半分近い38%に落ち込んでいる。

日本のスクリーンは韓国サムスンに技術だけ取られ、売上高シェアも逆転されたの画像6

 一方、枚葉式が主力になった2008年以降、オーストリアの洗浄装置メーカーSEZを買収したLam、SEMES、TELの3社が熾烈な2位争いを展開している。2021年には、2位がTEL(23.8%)、3位がSEMES(19.5%)、4位がLam(14.2%)だった。このように、枚葉式洗浄装置ではスクリーンが世界シェア1位であるが、そのシェアは低下傾向にある。近い将来、TELやSEMESに追いつかれてもおかしくない状況にあるといえる。

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23:30更新
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