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コータ・デベロッパの企業別シェア
スクリーンとSEMESは、洗浄装置以外にもレジストを塗布し現像するコータ・デベロッパを販売している。その出荷額と企業別シェアを見てみると、TELが断トツのトップシェアで、2021年は88.8%を独占した(図5)。
一方、スクリーンは1998年に最大20%のシェアを獲得したこともあったが、その後シェアはじり貧となり、2021年には2.6%まで低下してしまった。ところが、SEMESはスクリーンを抜き、2021年に8.1%のシェアを獲得している。コータ・デベロッパの世界市場は2020年に24億ドルだったが、2021年に約1.4倍の33億ドルに急拡大している。したがって、規模が大きくなっているコータ・デベロッパ市場で大きくシェアを落としたスクリーンと、シェアを向上させたSEMESで明暗が分かれることになったと考えられる。
まとめと今後の展望
2021年にSEMESがスクリーンを抜いて、装置の売上高ランキングで6位に躍進した。その理由を挙げてみると、次のようになる。
1)枚葉式洗浄装置では、スクリーンが2020年から2021年にかけてシェアを低下させる一方、SEMESは2019年から2021年にかけてシェアを増大させた。
2)コータ・デベロッパでは、スクリーンがシェアを低下させ続けている一方、SEMESは2019年以降シェアを増大させ、スクリーンを抜いた。
3)今回の分析では言及しなかったが、SEMESはドライエッチング装置でも売上高を増大させている。
2021年のSEMESの装置売上高は22.14億ドルで、7位のスクリーンの21.99憶ドルとは僅か1500万ドルしか差がない。したがって、2022年以降に再びスクリーンがSEMESを抜くことも考えられる。しかし、そのためにはジリ貧気味の枚葉式洗浄装置のシェアの低下を食い止める必要があるだろう。
一方、SEMESはスクリーンにはないドライエッチング装置のビジネスに参入している。現在SEMESのドライエッチング装置の売上高は、Lam、TEL、AMATの上位3社には遠く及ばない。しかし、SEMESの背後にはサムスン電子が控えている。もしSEMESがサムスン電子の要求に応える性能のドライエッチング装置を開発できれば、さらに大きく飛躍する可能性がある。
今後、枚葉式洗浄装置でスクリーンが巻き返すか、SEMESがさらに飛躍するのか、スクリーンとSEMESの装置売上高ランキング争いに注目していきたい。
(文=湯之上隆/微細加工研究所所長)