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木村誠「20年代、大学新時代」

円安が大学生の海外留学コストを直撃…それでも千葉大学は全員留学を課すのか?

文=木村誠/大学教育ジャーナリスト
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 留学必須の場合、留学先にはいろいろなパターンがある。国際教養大学のように、海外協定校との交換留学で多くの選択肢があるケースもある。たとえば、早稲田大学の国際教養学部の日本人学生は、世界各国の300以上の大学などから留学先を選べる。

 また、立命館大学のグローバル教養学部のように、特定の大学(オーストラリア国立大学)との協定であるデュアル・ディグリー・プログラムが全面的に組み込まれているケースもある。一方、同志社大学のグローバル・コミュニケーション学部では英語コ―スと中国語コースがあり、留学先は英語圏か中国・台湾の大学となる。両者は対照的だ。

 円安がさらに進めば、コスト高によって海外留学プランを見直す学生も出てくるだろう。オンライン授業の普及によって、「海外の大学で勉強したい」という本人の願いに対しても、「日本の大学でも受講できるはず」という親の声も高まると考えられるからだ。

高等教育の家計負担が重い日本

 コロナ禍でここ1、2年は中断されたが、米ハーバード大学や英ケンブリッジ大学といった海外の有名大学への進学を志すケースが2023年以降は劇的に増えるという予想も、円安の影響や長引くコロナ禍で微妙だ。海外留学に限らず、日本は大学生の経済的負担が大きいという背景も看過できない。

 アメリカ、イギリス、オーストラリアなどは授業料が高いが、奨学金などが充実している。他の欧州諸国は、高等教育の学費負担そのものが低い。その点、日本は高等教育にかかる費用の5割以上を家計が負担しており、公的な負担は3割にすぎない。この割合は、OECD加盟国平均の半分以下といわれている。

 ただ、アメリカの州立大も実質民営化が進み、学費が上がる傾向にある。特に今年に入ってインフレ懸念が高まっており、それに伴って学費も急騰している。アメリカの私立大では、年間授業料800万円弱(1ドル137円換算)に達するところもある。日本の国立大の平均は首都圏の一部有力大を除き約53万5000円、私立大でも医学部を除き80万~150万円が相場である。

 今まではアメリカやイギリスなど英語圏の大学への留学志望者が多かったが、ヨーロッパには留学生も含めて大学の授業料がほぼゼロの国もある。ドイツやノルウェー、アイスランド、フィンランドなどだ。また、フランス、イタリア、スペインなども、留学生も含めて学費はかなり安い。英語圏にこだわらなければ、本人の問題意識に従って選べる留学先の候補は広がるはずだ。ただ、その場合でも、円安の影響ゼロというケースは少なそうだ。

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