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なぜ湘南海岸公園駅が「住み続けたい街」1位?検証で判明、魅力と意外な難点

取材・文=A4studio
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湘南海岸公園駅ホーム

 10月4日、リクルートが発表した「SUUMO住民実感調査2022 首都圏版」の「住み続けたい街(駅)ランキング」で、対象となる1137駅のなかから江ノ島電鉄線の「湘南海岸公園駅」(神奈川県藤沢市)が1位に選ばれた。駅名にもある神奈川県立湘南海岸公園から徒歩10分ほどの場所にあるのだが、住宅街のなかにぽつんとあるこぢんまりした駅らしく、湘南エリアの江ノ島周辺の観光地とは異なるイメージ。神奈川県民でも、周辺に住んでいたり湘南エリア好きだったりしなければあまり馴染みのないマイナー駅なのである。

 この駅がなぜ「住み続けたい街(駅)」1位に選ばれたのか。その疑問を解消すべく、今回は実際に駅周辺をブラブラと散策し、忖度なしで本当に住みやすいのかどうかをレポートしていきたい。

閑静な住宅街が並ぶものの、利用者(住民)は多い印象

 まず、「住み続けたい街(駅)ランキング」の上位5駅は下記のとおり。

1位「湘南海岸公園駅」(江ノ島電鉄線/神奈川県藤沢市)
2位「馬車道駅」(みなとみらい線/神奈川県横浜市)
3位「日本大通り駅」(みなとみらい線/神奈川県横浜市)
4位「鵠沼駅」(江ノ島電鉄線/神奈川県藤沢市)
5位「東銀座駅」(東京メトロ日比谷線/東京都中央区)

 この手のランキングでよく耳にする「住みたい街(駅)ランキング」ではなく、「住み続けたい」というのがポイントなのだろう。「住みたい」のランキングでは吉祥寺や横浜といったメジャー駅が上位常連になりがちだが、「住み続けたい」は実際に住んでいる人の意見が集計されるため、あまり知名度の高くない駅が上位に来ているに違いない。

 では湘南海岸公園駅のレポートをしていこう。

 藤沢駅から江ノ電に乗って湘南海岸公園駅に向かう。江ノ島電鉄は全線単線になっているせいか、平日の昼下がりにもかかわらず半分くらいの席が埋まっていた。

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駅名看板

 藤沢駅から4駅。8分ほどで湘南海岸公園駅に到着したが、駅員などはいない無人駅で、近くにすぐ住宅街があるのでこぢんまりしたホームになっている。特徴を挙げるとするならば、海が近いため潮風の匂いがかすかにすることだろうか。だが駅からは肝心の海が見えず、海への案内看板などもないため、降りただけでは海の街であることを実感しにくい。

 ちなみに降車したのは5人ほどで、大学生らしき20代くらいの男女やお年寄り、ベビーカーを押す子連れの主婦など年代もさまざまだったので、幅広い世代が利用しているようだ。

 とりあえず、改札を出て駅北側(海と逆方向)にある片瀬西浜橋通り線沿いにそって歩いてみることに。

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駅北側の住宅街の道路

 駅北側の片瀬西浜橋通り線は、車がすれ違える幅の道路。行きかう住民は徒歩または自転車を利用して移動していた。

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スーパーマーケットの「YAOFUKU」

 駅から歩いて8分ほどの場所にスーパーを見つけた。こちらの全日食チェーンのスーパー「YAOFUKU」は、地元住民向けの野菜、果物を販売しており、ラインナップは豊富で全体的に価格は安めな印象だった。

 だが駅から徒歩8分ほどで歩ける半径600m近隣には、本店を含めてコンビニ、スーパーマーケットが4店舗しかない。一応生活圏内にあるとはいえるが、自転車を持っていないと少々不便ではないだろうか。

湘南海岸公園付近は海水浴場、水族館などの施設がずらり

 そのまま北東へと進み、国道467号線に突き進むと、コンビニや個人飲食店が姿を見せてくる。住宅街の雰囲気は薄れ、ロードサイド店舗が増えてきた。海に近い土地柄、サーフィン関連のお店や教室もあり、サーファーらしき人の姿を見かけることも。

 また467号線の近くには5件ほど動物病院が存在しているのにも気づいた。よくよく観察すれば、ペットとともに散歩している人をよく見かけたので、湘南海岸公園駅一帯はペットを飼っている世帯が多いのだろう。

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観光客向け飲食店と思われるイタリア料理店「湘南福猫」
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サーフィン用品店「HOBIEサーフィンスクール」
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近隣に5つある動物病院のひとつ「湘南夜間救急動物病院」

 その後、467号線を南下して山本橋経由で海と直結する境川を渡り、湘南海岸公園を目指す。山本橋から南西にまっすぐ進み、小田急江ノ島線の踏切を渡った後、国道134号線に突き当たり、「片瀬西浜・鵠沼海水浴場」に辿り着いた。

 そして海水浴場を北西に進んで、全長2kmにも及ぶ神奈川県立湘南海岸公園に到着。潮風が心地良い広々とした公園であり、海水浴を楽しめるだけでなく、遊具や遊歩道、水族館などもある充実した施設となっている。確認した限り、ランニングや犬の散歩、子どもの遊び場として幅広い年代の人々が利用していた。

 ちなみにリクルートの調査では、湘南海岸公園駅について「地域に顔見知りができやすい」「街の住民がその街のことを好きそう」という声が地域住民から寄せられていた。

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富士山が見える! 神奈川県立湘南海岸公園
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湘南海岸公園内にあるちびっこ広場

 そして江ノ島に徒歩圏内で訪れることができるのも大きな魅力のひとつだろう。観光名所にふらっと遊びに行けるのも湘南海岸公園駅付近に住むメリットだ。

 また4駅先の藤沢駅はショッピングビルやちょっとした繁華街などがある栄えた駅なので、たいていの用事は藤沢駅周辺まで行けば事足りるだろう。藤沢駅は江ノ電以外にもJRと小田急が乗り入れるターミナル駅のため、ここから都心へアクセスもしやすい。

 海の近くで暮らしたい人やマリンスポーツを楽しみたい人にとっては、適度な利便性も兼ね備えた湘南海岸公園駅は、まさに理想の場所といえるかもしれない。

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徒歩で江ノ島周辺に行けるのも魅力

住民目線だと、逆に観光地に近いことが最大のネックか

 閑静な住宅街が広がるため、比較的静かに過ごせそうな湘南海岸公園駅周辺。しかし、観光客が訪れるため、オーバーツーリズム(観光客増加に伴う地域環境、住民への負の影響)の問題にさらされる可能性が高い。

 特に観光客向けの施設や飲食店は、日時によっては地域住民が訪れにくいかもしれない。今回は平日に訪れたこともあってそれほど観光客らしき人は見かけなかったが、江の島に近づくほど平日であっても観光客は増えるはず。ましてや休日や長期休みの時期はさらなる人通りの増加が予測できる。

 観光地が近いことはメリットともいえるが、表裏一体で実際に生活するとなると交通や治安の面でデメリットが出てきそうである。

 また家賃相場も有名観光地の近隣ということもあって、都心から離れているにもかかわらず、リーズナブルとはいいがたい。SUUMOの賃貸マンションの相場価格を参考にすると、湘南海岸公園駅付近の1Kの家賃相場が7.8万円。同じ条件で都内を比べると、東京23区は最高値の港区で11.0万円だが、最安値の足立区、葛飾区、江戸川区で7.0万円、同額帯となると荒川区、大田区、北区の8.0万円となる。23区最安値以上の家賃相場だということを踏まえると、安いとはいえないだろう。

 なお、横浜や都内に毎日通勤・通学すると考えるとアクセス面も微妙である。藤沢駅で乗り換えすると仮定すると、湘南海岸公園駅から横浜まではJR上野東京ラインで35分ほど、新宿までは湘南新宿ライン経由で1時間10分ほどかかる。朝の電車内の混み具合や乗り換えが必要なことを考えると、この時間をかけて毎日通うのは厳しいと感じる人は少なくないだろう。

 まとめると、交通面の不便さや生活必需品のお店の少なさはどうしても気になるし、観光客増加によるオーバーツーリズムも不安であるという感想に行き着いた。都心のほうがアクセスはもちろん、チェーンの飲食店はあるし、日々の買い物に困ることはなく便利だろう。

 ただ海が好きな人やサーファーたちにとっては好立地なことは間違いない。多少の不便さを耐えてでも、日常的にアウトドアレジャーやマリンスポーツを楽しみたい人にとっては、理想的な街だというのは保証できよう。

(取材・文=A4studio)

A4studio

A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

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