トレーニングと飲酒
こんにちは。パーソナルトレーナーの片山翔麻です。
今回は、トレーニングと飲酒の関係、飲酒が減量やバルクアップにどのような影響があるかをいくつかご紹介したいと思います。
この話については、現代も尚新しい論文が発表されていますし、紹介しきれないほどの研究結果がありますが、中でもわかりやすいものをお伝え出来たらと思います。
まず、はじめにこれは飲酒を否定する記事ではありません。そして、私は普段一滴もお酒を飲まないですが、友人と会った時や、冠婚葬祭の場ではお酒を飲みます。
別に、飲酒をする、しないが最も重要なポイントではありませんが、飲酒をしない方が確かに体作り、健康の面でスムーズに成果を出せます。しかし飲酒を絶対にしない!という考えによる、人脈や友好関係を築く機会を損失することも良いとも私は思っていません。
では、まず「減量においていかに飲酒が悪影響を及ぼすか」ですが、
結論からいうと、「減量したいならお酒を断った方が良い」です。
一生お酒が飲めないわけではありません、1~2ヶ月でもそれより少し長い期間でも、「減量する」と決めたのであればその間はお酒を控えることで、結果を出しやすくできます。
もし、絶対にお酒を断つことができないのであれば、(その量によりますが)減量するペースがゆっくりである、長丁場になるということは許容しなくてはいけません。
その理由は・・・
まず、アルコールが人間の体内に入った際に、人間の体はアルコールを「毒素が体内に入ってきた」と同じ扱いをします。それは、体が「肝臓で毒素を中和しようとする」という働きをはじめるということです。
そして、肝臓機能の優先順位として、「毒素の中和」が最優先で、「その他の栄養素の分解」、「その他の肝臓が担う役割」は、後回しにされます。
わかりやすく言い換えると、アルコールの中和に肝臓機能が持っていかれるため、同時に摂った栄養素は分解されず、とりあえず体脂肪として貯蓄される。ということです。
「お酒のカロリー、”エンプティカロリー”は太らないって聞いた」
お酒が好きなクライアント様から良く言われることです。これは非常に難しい解説になりますが、総じて答えはNOです。
アルコール1gのカロリーは7kcalあります、そしてそのエンプティカロリーは、たんぱく質、炭水化物、脂質から摂れるカロリーよりも、優先して消費されます。
確かに、アルコールそのものは体脂肪にはなりませんが、「その他の余剰したカロリーが体脂肪になります。」
要は、普段の食事に加えて、アルコールでさらにカロリーを摂取しているので、「一日の総摂取カロリーが結局増える→余剰したカロリーが体脂肪になる」のです。
しかも、アルコールを肝臓が分解している間はずっと、その他の栄養素は体脂肪として優先的に貯蓄されていきます。
そして、人間がエネルギーが足りない場合に「体脂肪を分解して、糖に変えエネルギーに変える」という仕事の役割を持っているのも肝臓です。その機能もアルコールによって肝臓機能が大きく割かれるため、その役割の効率は著しく下がります。肝臓がアルコールの中和に忙しいため、体脂肪を分解する暇がない、ということです。
この肝臓への影響だけでも、なぜお酒を飲むと太りやすいのか、減量の妨げになるかは十分かなと思います。その他にも実験結果がありすぎて紹介しきれません。
そしてその肝臓については、筋肉を付けたい場合にももちろん影響します。
筋肉を増やしたい場合、基本的にはオーバーカロリーである必要があるため、体脂肪と同時に筋肉量を増やすことにはなります。だったら飲酒した方が体重増えやすいとは言えます。
ただ、摂取したタンパク質をアミノ酸に分解し、そこから再度タンパク質に合成し直すのも結局は肝臓です。
肝臓への負荷を飲酒によって高めてしまうことで、本来行われるはずの筋肉へのタンパク質合成の効率が下がることは言うまでもありません。
一日1~3杯アルコールは、テストテロン量を増加させるため、筋トレにむしろ有意義とも考えられますが・・・
必ず1~3杯で止められる人なら良いのかもしれません 笑
私は、仮に友人と飲みに行った場合、1~3杯では済みません。
そして、1~3杯のアルコールといっても、ビールからウィスキーまで度数は様々ですよね。
日常的にアルコールを摂取している男性の45%が平均よりもテストテロン値が低い
という調査結果もあります。
少し話はずれましたが、要約しますと。
アルコールを日常的に摂取している場合、肝臓への負担が大きく、本来肝臓が担っている役割が阻害される
ため、
・他の栄養素が体脂肪に変えられやすくなる=太りやすくなる
・体脂肪の分解も阻害される=痩せにくい
・筋肉へのタンパク質合成も阻害される、男性ホルモン値が下がる傾向にある=筋肉が付きにくい
のです。
しかし、減量中に、息抜きとしてや、友人と遊ぶことでのストレスの軽減というのは、メリットとして捉えてもいいのではないかな、とも思います。
また、”肝臓の強さ”というのも人それぞれです。お酒に弱い人、強い人がいるように、肝臓機能の強さ、アルコール耐性は人それぞれです。日本人は実は”お酒が飲めない”人口の割合が外国に比べて圧倒的に多く、4割以上と言われています。
”女性は”トレーニング後に飲酒をした場合であれば、男性と違ってあまり心配する必要はない、という結果もあり、今なお研究が続いている分野です。
しかし、私個人としても、最も飲酒において重大なデメリットは
”二日酔い、または飲みすぎたことによって、体のパフォーマンスが下がり、トレーニングに影響を及ぼすこと”
にあるのではないかな、とも思います。
二日酔いの状態でトレーニングに行って、飲んでいない時のパフォーマンスが出来るか、と言ったらほとんどの人は出来ないのではないでしょうか?
むしろ、昼にトレーニングする予定だったのに、飲み過ぎたせいで起きれなかったり、行く気になれないことの方が多くないでしょうか?
そういった、”生活やスケジュールの乱れ”を引き起こす要因になり得ることが、私としても最も懸念しているところです。
始めに申し上げましたが、私自身はお酒を飲まない人間ではありません。
”上手く付き合っていく”ことが重要ですね。
リソース
Scientific References:
Is a Calorie a Calorie? :https://academic.oup.com/ajcn/article/79/5/899S/4690223
Fat Oxidation + Alcohol Consumption:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10539756
Alcohol and Appetite:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20096714
Alcohol and Testosterone:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12711931
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11912073
Alcohol and Muscle Protein Synthesis:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27135475
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25257868
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2651172/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3922864/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27135475