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【パーソナルトレーナー名鑑⑥辰野幹太さん】マッスル北村氏に少しでも近づきたい! 地元密着型トレーナーの仕事術

 ここ数年、フィットネス業界でトレンドとなっている、パーソナルトレーニング。Withコロナ時代、これまで以上に人々の健康に対する意識が高まり、ますます需要は拡大していくと予想されるが、利用者はいったい何を基準にトレーナーを選べばいいのか?

 そのひとつの指標となる、トレーナーの経歴や素顔に迫る――。

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毎日筋トレしたくて、大学を休学

 HP開設に始まり、SNSやYouTube、note等を駆使して情報を発信し、新規顧客を獲得することは、フリーランスのパーソナルトレーナーにとってもはや常識となっているが、リアルの場で、数珠つなぎのように顧客の輪を広げている地域密着型トレーナーもいる。

 辰野幹太さんは今年2月にパーソナルトレーニングを始めたばかりの新米トレーナー。高校までは野球に励み、大学入学後、本格的に筋トレを始めると、みるみるのめり込んでいった。

「体がどんどん変わっていくのが面白くって。暇さえあれば筋トレしていましたね。その一方で、月150~200時間くらいバイトしていたので、筋トレが出来ない日もある。毎日やりたいなと思って、3年生のときに思い切って休学したんです。トレーニング理論や機能解剖学などの勉強も本格的に始めて、毎日筋トレに打ち込んでいたら、自分でもビックリするくらい体が変わっちゃったんで、これは続けたほうがいいぞと、4年時も休学。翌年2月からトレーニング指導を始めたこともあり、同級生が卒業する3月のタイミングで、僕も一緒に退学しました。何かにのめり込むと、同時進行でできないですよ(笑)。」 

 そんな筋トレ好きな青年がトレーナーの道へ進んだのは、バイト先の常連客がきっかけだった。

「大塚にある、『鳥忠』という大衆居酒店で大学1年生の時からバイトしていたんですが、みるみる僕の体が大きくなっていくのを見て、常連さんたちが『どうした? どうした?』ってなっちゃって(笑)。それで、『筋トレしてるんですよ』って話したら、『お金出すからトレーニングを教えてくれ』って。最初に声をかけてくれたのが建設業界の方で、その人が『場所探してこい』『見積り持ってこい』っていろいろ指示され、どうにか始めることができました。それで、次々とほかの常連さんたちも『教えてくれて』ってなって…。トレーニング指導は夜の時間帯がほとんどなのでバイトもできなくなってしまい、トレーナー1本で行くことにしました」

 客層は40~50代がメインで、ほとんどが自分の両親よりも年上だ。

「最初はみんな、『兄ちゃんに会いに来たよ!』って感じで、筋トレ自体はそこまでやる気がなかったんですが、なんだかんだ週1は通ってくれていますね。『おなかが出てきたから痩せたい』とか『健康診断で医者から運動するように言われた』とか、『いい体で棺桶に入りたい』とか、目的はそれぞれ。なんのためにトレーニングするのかは、初めにしっかり聞くようにしています。みんながみんな、しっかり動きたいわけではなく、軽い運動だけで満足な人もいます。僕自身はトレーニング理論の新説とか堅い話も好きですが、どちらかと言うと、楽しいトレーニングを求めている人が多いので、あまり小難しい話はせず、相手の興味が出てくるのを待ちます。個々のニーズに合わせて、やらなさすぎ、やりすぎに注意しながら指導していますね。

 また、食事に関しては好きなものを食べたい、という方が多いので、食事指導はあまりしません。『筋トレやったらしっかりご飯たべてください』くらいですかね。やっぱりトレーニングは長く続けてほしいですし、やめてしまうともったいないですから」

 ほぼ全員、回数券を購入し、平均すると30回程度は続けてくれているという。

「中には出張レッスンに来てくれ、という人もいて、週3回、朝5時半からやっています。僕の家から徒歩3分くらいのところに住んでいる60歳の方で、『まだまだ若い子には負けない』とパワフルなんですよ。『とりあえず60回はやる』と言ってくださって、ボーンと入金してくれました(笑)。その前に何回かお試しで指導はしていたんですが、そんなに信用してくれているんだと、うれしくなりました。トレーナーとしてその期待に応えるべく、これまで以上にトレーニング知識や体についての勉強をしっかりしようと気が引き締まりましたね」

 

故・マッスル北村氏に少しでも近づきたくて…

 最近では、鳥忠の常連客だけでなく、近所の八百屋の娘さんや姪っ子さんを紹介してもらうなど、着々と顧客の輪を広げている辰野さん。自身も週6回はトレーニングに励んでいるというが、そんな彼が敬愛しているのが、故・マッスル北村氏だ。

 マッスル氏といえば、アジア人としては規格外のバルクと怪力を誇った、伝説のボディービルダー。死後20年たった現在でも、そのカリスマ性は語り継がれている。

「鳥忠でバイトをしていた頃に、お客さんから『ボクの履歴書』という北村さんの本をもらったんです。『この人はすごかったんだよ』って。名前は知っていましたが、この本との出会いが、僕の人生のターニングポイントになったといっても過言ではないです。考え方はもちろんですが、存在そのものに大きな衝撃を受けました。追い込みへの執念というか、肉体的限界、精神的限界を超えて自分の限界を知る――。トレーニングによって自分の中に宇宙を作りだす――というマッスルさんの哲学。そこまでの境地にたどり着くには筋トレを続けるしかない。続けないとマッスルさんには近づけない。少しでも近づきたいと、日々祈るような気持ちでトレーニングしています」

 この出会いもあり、トレーニング、そして体への興味は増す一方だったが、トレーナーを始めてからは、少し考え方に変化が出てきたようだ。

「トレーナー1本で食べていきたい、というわけではなく、筋トレを知らない人に広めていきたい、という気持ちのほうが強くなりましたね。やりたいけどまだやってない人って、だいたい金額か時間がネックになっている。だったら料金を少し下げてでも、やってもらえたほうが嬉しいですね。押さえるところを押さえれば体は変えられますし、迷っているなら一歩踏み出したほうが面白い世界が待っていますから」

 辰野さんの顧客の場合、単発で終わらず、トレーニングを継続している人が多いのが特徴だが、その理由は「コミュニティ」だと、辰野さん。

「僕のお客さんの場合、筋トレという共通の話題ができたことで、たとえば飲みの席など、僕がいない場所でも筋トレの話で盛り上がってくれるようになりました。キツいトレーニングも、同志がいれば頑張れます。目標は、鳥忠のお客さん、全員にトレーニングしてもらうことですね(笑)」

 持ち前の人懐っこさを武器に地元密着型のトレーナーとして活躍しつつ、自身のトレーニングに対してはただひたすらストイックに打ち込む辰野さん。コンテストやパワーリフティング競技への出場も目指しているという彼の今後の活躍に注目だ。
(取材・文=編集部)

 

●辰野幹太(たつの・かんた)
トレーニング歴4年。大塚・池袋を中心に活動中。コンセプトは「筋トレ、フィットネスで張りのある毎日を!」。NSCA-CPT取得。

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