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【パーソナルトレーナー名鑑⑧木暮淳一さん】自身の悔しい経験が基になった、スポーツの「キレ」をつくる筋トレ

 ここ数年、フィットネス業界でトレンドとなっている、パーソナルトレーニング。Withコロナ時代、これまで以上に人々の健康に対する意識が高まり、ますます需要は拡大していくと予想されるが、利用者はいったい何を基準にトレーナーを選べばいいのか?

 そのひとつの指標となる、トレーナーの経歴や素顔に迫る――。

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アメフト社会人リーグ入りを果たすも、「トレーニングの成果が出せない」

 木暮淳一さんは指導歴13年目のベテラントレーナーだ。スポーツにおける「キレ」のある動きを高める筋トレのプロとして川口市を拠点に活動中だが、パーソナルトレーナーを目指したのには、自身の苦い過去が関係している。

「高校まではずっと野球をやっていて、大学からアメフトを始めたんです。ポジションはランニングバッグ。本格的に筋トレもやり始めましたが、チーム専属のトレーナーはおらず、学生の間でトレーニングメニューを考えて実践していました。でも、思うように成果が出ず、日々、悩みながらやっていましたね。ちょうど、NFLの試合が東京ドームであって見に行ったんですが、選手はみんな100kgくらいあるのに、背中にロケットがついたくらいのスピードで走っている。“これじゃあ日本人は勝てないな”というのが正直な感想で、海外のトレーニング知識を勉強したほうがいいなと思い始めました。当時はNFLの間でスロートレーニング(ウエイトトレーニング方法の一種で、ゆっくりとした動作で筋肉に負荷をかける)がはやっていて、NFLのコーチが日本に来て教えてくれる機会もあったので、それに参加して勉強したりしていました」

 卒業後、クラブチームに入り、トライアウトに挑戦。社会人リーグ入りを果たす。しかし、ここでも「トレーニングの成果が出せない」という悩みが消えなかった。

「平日は仕事が終わったら筋トレ、土日はチーム練習があって、休みなくフル稼働していましたが、“もっと活躍したい”という気持ちからトレーニングの勉強を始め、NSCA-CSCSを取得。でも、資格を取ってもあんまり変わらなかった。それで、海外のアスリートのトレーニングを本格的に勉強し始めたんです」

 当時、スポーツに関する筋トレは、日本ではまだ情報が少なく、アメリカをはじめ海外の文献を研究しないとなかなか知識が得られなかった。そこで、辞書を片手に、文献を読み漁る日々が続いた。

 

海外のトレーニング方法を学んだら、みるみる結果が!

「日本だと、筋トレ=筋肉量を増やす、というイメージがありますが、それはたくさんある筋トレの効果のなかのひとつ。アスリートは、筋トレでスピードやパワーを養えるんです。その基準、ルールを、海外の文献から学びました。それを活用してパワーリフティングを始めたところ、1年後に関東大会で2位という結果を残すことができました」

 自分と同じように筋トレの成果で出なくて悩んでいる人を助けたいと、現役引退後は大手スポーツジムや大学のトレーニングルーム、都立公共体育館、ホテル内ジムなどで働く傍ら、パーソナルトレーニングも始動。大学のアメフト部やボクシングジムのトレーニングトレーナーなど、アスリートへの指導も行い、順調にキャリアを積んでいたが、30歳の時に転機が訪れる。

「リンパ節に腫瘍ができて、生まれて初めて手術を受けたんです。入院中、『やり残しのない人生を生きるためには?』ということを考え、以前から興味のあったホテル業界にチャレンジすることにしました」

 ホテルマンとしての生活も充実していたが、徐々に自分と同じように悔しい思いをしている人を助けたい、という気持ちが戻ってきて、トレーニング業界に復帰。今年1月に、Hope Fitnessを立ち上げた。

「Hope Fitnessでは、社会人アメフト、パワーリフティングの選手としての経験とトレーナーの知識を組み合わせ、『筋トレ5つのコツ』を体系化し、指導にあたっています。一番大切にしているのは、個人個人と本気で向き合う、ということ。みなさん忙しいなか時間をつくってわざわざトレーニングに来てくれているのだから、その分、わたしもお客様が満足のいくセッションを提供できるよう努力しています」

 現在は10代から70代の方まで幅広い世代を指導しており、スポーツのための筋トレと、ボディメイク目的の顧客は半々くらいだという。

「ボディメイクの場合は筋肉に効かせる、ゆっくり動かすことを意識しますが、スポーツでは真逆のことをやります。ルールもまったく違うし、別物ですね。ゴルフの飛躍距離を伸ばしたいという方や、サッカーや柔道の機能性アップなど、“週末アスリート”の方も多数ご利用いただいています。スポーツの知識がないと指導できないので、暇があったらいろいろなスポーツの観戦に行ったり、勉強しています」

 

柔道パラ代表候補選手との出会いが自信に

 長いトレーナー生活の中で、特に印象に残っているのは、柔道パラリンピック代表候補選手を指導した時だ。

「彼は視覚障がい者で、当時は大学生。柔道の稽古場でロープを登ったり、腕立て伏せなど、体幹トレーニングはしていたそうですが、バーベルを使ったスクワットやデットリフトなど、ウエイトトレーニングは初めてでした。『あと2歩で段差がある』とか『右手を伸ばすとバーベルがあるから触ってみて』とか、1から10まですべて言葉だけで説明しなければならないので、最初は戸惑いましたね。でも、効果をすごく実感してもらえて、その後、2年間、指導させていただきました。トレーナーとして初めて気づくこともありましたし、今まで自分が勉強してきたことは間違っていなかったんだと、自信にもなりました。」

 そんな木暮さんにとって、トレーナーとしてのやりがいはどんなところなのだろうか?

「一番は、お客様の印象が変わるところ。基本みなさん、体験にいらっしゃるときは暗い顔で来るんです。でも、トレーニングをしていると明るい表情になって帰っていく。『仕事も前向きになった』という人もいます。トレーニングって、体だけでなく、心も前向きになれるんですよね。そういうお手伝いをさせていただいているのはありがたいです」

 自称「ほめ殺しの木暮」だというが…

「筋トレはつらいですが、つらい顔をしてやるよりも強気な顔、明るい顔でやってもらったほうが効果は出ます。そういう表情になってもらえるような声掛けは心がけています。アメフトをやっていた経験が生きていると思います。また、現在もパワーリフティングを続けていて、これも指導に役立っています。パワーリフティングのトレーニング方法って、Maxの何%を何回やればスピードがつく、とか、すごくはっきりしていてわかりやすいので、スポーツの筋トレに生かしやすいんですよ」

 最後に、筋トレ初心者にこんなメッセージを送る。

「まずはパーソナルトレーニングを受けて自分の体の状態を知って、道のりを教えてもらうのが一番だと思います。カーナビみたいな使い方といいますか…。やっぱり初心者は自分ひとりではわかりませんからね。

 また、周りの人に宣言する、というのをおススメしています。『明日からダイエットする』とか『筋トレを毎週やる』とか。そういうすると、周りの人が応援してくれますから」

 紆余曲折しながらも、パーソナルトレーニングこそ転職だと確信した木暮さん。「もっとスポーツを楽しめる体」を広めるべく、今日も汗を流す。

 

●木暮淳一(きぐれ・じゅんいち)
埼玉県川口市のジムを中心に、都内の個室ジムシェア施設やご自宅に出張パーソナルトレーナーとして活動中。専門学校の講師・「キレを高める筋トレセミナー」も開催。『スポーツのキレが3倍上がる筋トレ術: 筋トレで足が速くなる人・ならない人の違いとは』がKindleにて発売中。保有資格/NSCA-CSCS、小・中・高等学校教諭第一種免許「保健体育」。
https://kigure-trainer.com/

 

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