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ヒップスラストは大殿筋にとって最良トレーニングなのか?

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  近年のフィットネスブームに伴い、ヒップアップをしたいと大殿筋のトレーニングにいそしむ女性がかなり増加しました。

 また、雑誌で「美尻トレーニング」の特集が組まれたり、美尻トレーニングを売りにするパーソナルルトレーナーも多くなりました。

 ヒップアップの代表的な筋肉が、股関節の伸展筋群である大殿筋です。

 今回はそんな大殿筋について解説していきます。

 

大殿筋の解剖学

 解剖学を理解することはすごく大切なのですが、小難しい話になるので、興味のない方は飛ばしてください。(笑)

 まずは大殿筋の付着部・走行について抑えましょう。

起始 : 仙骨後面の側方、腸骨の後臀筋線、胸腰筋膜、仙結節靭帯

停止 : 上部線維:腸脛靭帯
    下部繊維:大腿骨臀筋粗面

作用 : 股関節(筋全体)の伸展・外旋・前額面における骨盤の安定
    股関節(上部線維)の外転
    股関節(下部繊維)の内転

 大殿筋は、股関節の伸展筋群の中で最も強く作用する筋肉です。

 

ヒップスラストは本当に最良のトレーニングなのか⁉

 大殿筋の代表的なトレーニングの一つとしてヒップスラストが挙げられます。そんなヒップスラストについて考察していきます。

●バイオメカニクスの観点から

 フリーウエイトトレーニングの絶対原則として「鉛直方向にかかる負荷に対して逆らわなければならない」というものがあります。

 ヒップスラストは鉛直方向に対して真逆から逆らう形になるため、この点では非常に優れたトレーニングと言えるでしょう。

 

●筋肉の収縮様式

 鉛直方向に対して真逆から逆らうトレーニングですが、身体の姿位上、可動域がそれほど取れないので、コンセントリック(短縮性)コントラクション(収縮)に特化したトレーニングといえます。

 たまに、ヒップスラストで「ネガティブをしっかり意識しましょう」なんて指導をしている方を見かけますが、そもそもエキセントリック(伸張性)をしっかりとれるほどの可動域が取れる種目ではないです。

 もちろん、「動作速度をコントロールしましょう」というニュアンスならまだわかるのですが、明らかにそういったニュアンスではない場合が多いです。

 

●パフォーマンスから考える

 大殿筋の最も強い作用は股関節の伸展ですが、実際のパフォーマンスにおいてはどのタイミングで筋発揮しているでしょうか。

 身近なパフォーマンスとして歩行を例に挙げます。

 股関節の伸展筋群になるので、足を蹴りだす時の後ろ脚で最も筋発揮してそうですよね。

 しかし、実際に筋電図で調べてみると、立脚期の初期接地(IC)から荷重応答期(LR)まで、つまり、前足の踵がついてから前足のつま先がつくまでの瞬間に最も筋発揮しています。

 ジャンプにおいても、しゃがみ込んでから飛び上がる動作に切り替わる瞬間に筋発揮をしています。

 人の日常のパフォーマンスにおいては、アイソメトリック(筋の長さが変わらない)的に、エキセントリック(引き伸ばされる)的に筋発揮をしているのです。

「ヒップスラストはパフォーマンスにおいては最適とは言えない」

ことがここで分かります。

 むしろ、本来のパフォーマンスとは違う使い方を脳にインプットしてしまうため、パフォーマンスが下がる可能性があります。

 ボディメイクにおいてもヒップスラストは収縮位で、骨盤を後傾(後ろに傾ける)させます。

 ヒップアップの要素としてお尻の筋肉を大きくすることと、骨盤が前傾していることに二つの要素があります。

 外国人が日本人よりお尻が上がって見えるのは、元々の骨盤アライメントが日本人に比べ前傾しているためです。

 ヒップアップは筋肉だけではなく骨盤のアライメントによる要因も非常に大きいのです。

 そのため、骨盤の後傾を強調するヒップスラストは確かに大殿筋は大きくなるかもしれませんが、それ=ヒップアップとはなかなか言い切れません。

 コンテストにでない限りは、よっぽどやらなくて良いトレーニングです(実際にクライアント様にやらせないです)。

 

まとめ

 ヒップスラストが全くもって悪いトレーニングというわけではありませんが、かと言って多用するのは問題です。

 コンテスト選手でもない限りは日常のパフォーマンスに支障がでる可能性があるトレーニングは取り入れるべきではないと私は考えています。

 ヒップスラストが大殿筋にとって魔法のようなトレーニングに思われていますが、他にもとれはたくさんあります。

 大殿筋の有効なトレーニングとして、バックスクワット、ブルガリアン・スクワット、クロス・スクワット、デッドリフト各種、これらが日常のパフォーマンスに近い形で鍛えることができます(クロス・スクワットは大殿筋の伸張性筋収縮に特化したトレーニング)。

 また、骨盤を前傾位で保った状態でトレーニングを行うことができます。

 機会があれば、一度試しにやってみてください!

鈴木寛太(KANTA SUZUKI)
パーソナルトレーナー。活動地域:愛知県。
本来あるべき機能を取り戻すことこそ“ストレスから解放されるカギ”をモットーに日々活動中。動かしやすい身体は人生を豊かなものにしてくれます。皆様に身体づくりのヒントをお伝えできたらと思っております。
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