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野球に走り込みは本当に不要なのか?

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こんにちは!

YouTuber兼トレーナーの
草野球プレーヤーモトです⚾️

今回は野球と持久力の関係についての話をしていきます。

まず、持久力の意味ですがWikipediaで調べると
「疲労に抵抗する有機体の能力」とされています。

簡単にいえば、疲労に耐える力ということです。

私がよく関わる野球界では近年
「野球は瞬発的能力が大事であって、長距離を走るような有酸素運動は必要ない」
という主張が声高に叫ばれていることが多いです。

もっともな意見なように聞こえますが、選手がこれを強く主張してるのをみると
「息が切れるようなトレーニングをしたくないだけじゃないの?」と
私のひねくれた性格のせいかもですが、そう感じることがあります。

そこで今回は「そもそも持久力とはなにか?」
運動生理学の用語等を解説しながらまとめていき、そのうえで
野球に持久力を高めるトレーニングの必要性について考えを述べていきます。

生体エネルギー論

筋肉を動かすためにはエネルギーが必要です。
そのエネルギー源となるのがATP(アデノシン三リン酸)という物質。

大きな分子が小さな分子に分解される過程を異化作用といいますが、
ATPがADP(アデノシン二リン酸)に分解される異化の際にエネルギーが発生します。

そして、筋肉はこのときに発生するエネルギーを利用して力を発揮します。

このエネルギー源となるATPを供給する仕組みは大きく分けて3つあります。

❶ホスファゲン機構(ATP-CP系)
➡︎高速でエネルギー供給が可能、ただし短時間しか不可(7秒程度)

❷解糖
➡︎無酸素的解糖と有酸素的解糖の2種類がある(33秒程度)
 名前の通り糖を分解することによってADPからATPが再合成される
※ただし解糖そのものは酸素に依存しない

❸酸化(有酸素性)機構
➡︎低強度の運動時に主にATPを供給する。
 糖や脂質を酸素によって水と二酸化炭素に分解(異化)する反応
 グルコース1分子から解糖の18倍のATPを供給

上記3つの供給経路があります。

イメージとしては
ホスファゲン機構「蛇口を思いっきり捻ってエネルギーを供給、ただしすぐ尽きる」
解糖「早いのと遅いのがありますが、蛇口を適度に捻った状態時間もそこそこ保つ」
酸化機構「蛇口をちょっとだけ捻った状態ですが長い時間エネルギーの供給が可能」

というような感じです。

短時間かつ高強度の運動の場合はホスファゲン機構と速い解答を利用、
強度が低下して継続時間が伸びると徐々に遅い解糖と酸化機構に移行します。

よくある勘違いとして
ゆっくり走る場合も最初の7秒はホスファゲン機構…と思ってる方もいます。
が、それは間違いで運動の開始直後はたしかに強度に関係なくホスファゲンも使われますが、1〜2秒後にはグリコーゲンを分解し解糖が行われ始めます。

少し話が逸れましたが持久力を考える際に
この生体エネルギー論の知識は必要とおもったので説明しました。

では、本題の持久力について…

無酸素性持久力と有酸素性持久力について

まず一言に持久力といっても種類があります。

1つめは無酸素性持久力、2つめは有酸素性持久力です。

●無酸素性持久力
文字通り酸素の供給に頼らずに運動を持続する能力です。
酸素が不足した状態でエネルギー代謝を行うと体内では乳酸が発生します。

そのため、
無酸素性持久力で鍵となるのは乳酸をどこまで許容しながら運動を持続できるか…

ちなみに乳酸はある運動強度を超えると濃度が急激に上がりますが、
そのポイントを乳酸性作業閾値(LT)と呼びます。

この乳酸性作業閾値(LT)はトレーニングを継続することで
発生ポイントをより強度の高いところまで伸ばすことができます。

(⬆︎google画像検索結果より引用)

つまり、無酸素性持久力を伸ばすのに必要なこととは
❶体の許容範囲内でどれだけの乳酸を発生させられるか(酸素負債能力)
❷乳酸性作業閾値(LT)のタイミングをどれだけ高い強度に持っていけるか

この2点になるでしょう。
ちなみにこの時のエネルギー供給回路のメインはホスファゲン機構と解糖になります。

●有酸素性持久力

酸素を摂取しながら酸化機構を利用して運動を持続する能力です。
この運動時間は5〜15分程度の比較的短い運動なら最大酸素摂取能力が求められ、
それよりも長時間の運動となると酸素摂取の持続能力が求められます。

ちなみによくある勘違いとして、脂肪を燃やすためになるべく速いペースで走って頑張る人が多いかもしれませんが効率悪いです。炭水化物の摂取が十分な場合は高強度の有酸素運動だとエネルギーのほとんどが炭水化物から得られます。脂肪を燃やすという目的であれば、速く走るより遅めのペースで長く走ることをお勧めします。

1分間当たりの最大酸素摂取量のことをVO2maxと呼びます。

各持久力を得るためのトレーニング方法

無酸素性持久力を高めたい場合に有効なトレーニングの一例は
・100m走×8本(休憩時間90秒)
・ポール間走×10本(休憩時間120秒)
などといったものが考えられます。
酸素が不足した状態を狙って作りにいくので休憩時間短め、行っている間は疲労困憊に至りかつ量が多くなりすぎないよう調整する必要があります。

有酸素性持久力の場合はもう少し単純で
最大酸素摂取能力(VO2max)を高めたければ
・10分間のランニング(心拍数は180拍/分以上)
・10分間のバイク漕ぎ(心拍数は180拍/分以上)

酸素摂取の持続能力を高めたければ
・30分間のジョギング(心拍数は120〜160拍/分)
・30分間のバイク漕ぎ(心拍数は120〜160拍/分)
などがお勧めです。

さて、軽くおさらいすると
持久力には無酸素性持久力と有酸素性持久力の2種類がある。
無酸素性持久力を伸ばすには①酸素負債能力(乳酸を発生させる)と②乳酸性作業閾値をより強度の高いところへ持っていくのが有効。有酸素性持久力を高めるには❸最大酸素摂取能力を向上させることと、❹酸素摂取の持続能力を高めることが必要。

無酸素性持久力
①酸素負債能力(乳酸を発生させる)の向上
②乳酸性作業閾値を強度の高い方へずらす

有酸素性持久力
❸最大酸素摂取能力の向上
❹酸素摂取の持続能力の向上

一言に持久力を伸ばすと言っても4つの目的があると理解してください。

野球に持久力は必要ないのか?

結論を先に言ってしまうと、野球に持久力は必要と考えます。

たしかにエネルギー回路の供給元のメインは「ホスファゲン機構」と「解糖」となりますが、酸素の供給に頼らないエネルギー回路を利用する場合も酸素を負債(借金)してエネルギーを供給するためその後の回復能力は必要です。

簡単に言えば瞬発的な動きの繰り返しでも息切れはします。

例えば、2死の場面で攻撃時に自分がランナー1塁にいて、味方の長打で一気にホームへ突っ込んでアウトになったとします。そして、息も整わないまま守備についたとします。果たして、この時あなたはベストパフォーマンスを出せますか?

上記の例で求められる能力は無酸素性持久力と有酸素性持久力の両方です。

野球において試合中に全身が酸素不足によって疲労困憊状態になることは稀でしょう。
しかし、特に野手においては走塁や守備において何度もスプリント(短距離走)を繰り返すということは充分にあり得ることです。

たしかに「持久力」を求められるシーンは稀かもしれませんが、試合で必要となるシーンが必ずあります。たしかに野球はマラソンのように酸素摂取能力と酸素供給の持続能力が最大水準まで求められることはありません。トレーニング全体が持久力向上に偏るというのは優先順位的に避けるべきです。

しかし、投手のイニング間の回復能力、野手であれば走塁、守備間の回復能力向上のために一定の持久力向上を目的としたトレーニングも取り組むべきと考えます。

また、OFFの日に20〜40分程度ジョギングやバイク漕ぎをすることは一般的に見れば有酸素持久力を高める運動に括られるでしょうが、単純に血流を促進し身体全体の疲労を取り除くことに貢献します。(いわゆるアクティブレスト)

Piece of pizza(ピースオブピザ)

さて、ここで一つの概念を紹介します。

「Piece of pizza」

言葉の意味そのまんまですが、ピザの欠片(かけら)という意味です。
楽天イーグルスS&Cコーチの庄村康平さんがセミナーで紹介していた言葉ですが、持久力の必要性について説明するのにピッタリなのでそのまま利用させてもらいます。
(ちなみに庄村さんは私の大学時代の最も尊敬する先輩です)

トレーニングの組み立て方に究極の正解はありません。
ピザの全体にどの程度の比率で組み込むのかということを考える必要があります。

野球には古くから「走り込み」「投げ込み」といった根性論に近いトレーニングが推奨されており、現代はこれらが否定されつつあります。しかし、走り込みや投げ込みが全く必要ないかといえばそんなことはないはずです。全体のトレーニングの中(ピザ全体)でどれくらいの比重を置いて(ピザ一切れ分)組み込むのかを考えることが非常に重要です。

投球では肩や肘に局所的に負担がかかるので、負担の少ないフォームを模索する。また、大会中にどの程度の球数を要するのかを想定しオフシーズン、プレシーズン中に同じ程度の球数を投げておくべきと考えます。またフォームにおいてもより高いレベルの技術を身につけるには、より多くの反復が必要となるため一定の持久力(無酸素性、有酸素性どちらも)が必要となります。

要するに繰り返しになりますが、野球選手にも持久力は必要です。
優先順位的にはたしかに瞬発的なトレーニングより低いですが、息切れするようなトレーニング…例えばポール間走(P.P)などのトレーニングを行い、ある程度の水準までは持久力をつけておくべきです。高校生、大学生のように毎日練習している人であれば、週1〜2回程度は取り組んでみてはいかがでしょうか?

意味を理解し目的を持って取り組んでいるのであれば、息切れをするような強度の高いランニングも野球選手としてのレベルアップの役に立ちます。

「持久力はいらない」というような短絡的な結論に固執せず、しっかり運動生理学を勉強し充分に理解を深めた上でどのように取り組むべきかを判断してほしいと思います。

まとめ

1.エネルギー供給回路にはホスファゲン機構、解糖、酸化機構の3種類ある

2.持久力には無酸素性持久力と有酸素性持久力の2種類がある

3.野球に持久力は必要、優先順位は低いのでどう組み込むか考慮する必要はある

 

さて、本日の記事は以上となります。
この話が誰かの役に立てば嬉しいです。


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