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【インタビュー】プロボディビルダー横川尚隆「タレント活動を批判されても、競技の認知度が上がるならそれでいい」

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撮影=尾藤能暢

 本格的にトレーニングを開始してわずか4年で日本の最高峰まで登りつめた稀代のボディビルダーであり、バラエティ番組でとてつもない天然発言をかますタレント――。プロボディビルダー横川尚隆の底知れない魅力で、ボディビル界は今かつてない注目を浴びている。そんな横川が、その思いの全てを綴った『王者の突破力』(KADOKAWA)を上梓。奇人にして「超常識人」(横川談)の横川は、いかにして「王者」となったのか?

 

「僕自身は、特別才能があるとは思ってない」

――本を書こうと思ったきっかけは?

横川 「本を書きませんか?」とお話をいただいたので…。本を出す機会なんて、普通の人はないし、何より自分がやってきたことを残しておきたいなと。

――どういうことを伝えたい、残したいと思って書いたのでしょうか?

横川 なんて言うんだろう…。夢や目標に向かって一生懸命頑張る素晴らしさ、かな。僕はそれで人生変わったので。やるからには一生懸命にやらないと時間がもったいないし、何も成し遂げられないまま終わっちゃう。でも、誰よりも真剣に取り組めば人生は変わるし、夢や目標は達成できるから、あきらめずに頑張ってくださいと。

――最初の一歩の大切さですね。横川さんはどうやって「最初の一歩」を踏み出したんですか? もともとは、ボディビルダーを目指していたわけではなかったんですよね。

横川 全然違いました。暇でやることがなんにもなかった、というのが正直なところです。

――それが5年前。短期間でここまでの身体を築き上げるのは驚異的なことだと思いますが、どこでスイッチが切り替わりましたか?

横川 本当に勝とうと思ったのは、本にも書いているんですが、母との様々なエピソードがあって、そこからですかね。ずっとフラフラしていた僕を支え続けてくれた母への恩返しじゃないですけど、もっと強くなろうと思いました。

――そして、自分でも気づいていなかったボディビルの才能が開花した。

横川 僕自身は、特別才能があるとは思ってないです。これだけの体になることをやってきただけで。確かに筋肉の付き方とか人それぞれだし、そういった部分では恵まれていると思うんですが、それ以上に、こうなるようにやってきたから。好きだという気持ちが強かったからだと思います。

――現在の夢と目標は?

横川 ボディビルやフィットネスを広めることです。ボディビルにこういう人がいるよっていうのを知ってもらうだけでも全然いい。ボディビルってすごくマイナーな競技だから、知らない人が多いんですよ。僕は、知らないのが一番怖いなって思う。「嫌い」より「知らない」の方が嫌ですね。

――だから、テレビにも積極的に出演しているんですね。

横川 僕がテレビに出てれば、タンクトップ着て出てるし、絶対ボディビルダーってわかるじゃないですか。それだけでも全然いいんですよ。それを見て、視聴者の方がボディビルにいいイメージを抱くかまではわからないけど、知られていないよりはいい。

――そこに対して、同業者から「調子乗ってる」など批判されることは?

横川 言われますね。でも、競技の認知度が上がるならそれでいい。あと、僕は好きでやっているので、誰かに何を言われても関係ないというか。

――ご自身では変化は感じていますか? 

横川 はい。違いますね。昨年、日本選手権に出た時も、ボディビルという競技を知らなかった人たちがチケット買って見に来てくれたり、女性や子どものファンが増えました。動画が送られてきたりするんです。僕のポージングを2~3歳の子が真似してくれてる。保育園児からもファンレター来たり。「横川くんみたいになりたい」って。すごいうれしいですね。

――そしてこの本を読むと、テレビで知ってる横川さんとはまた異なる印象があります。ボディビルに対する信念や思考は論理的で明快。

横川 ボディビルに対する信念というのも、そんな難しいことはなくて。人より鍛えてきたというのは間違いないですけど、あんまり「頑張った」って感じはないし。「めっちゃツラかった」ってわけでもないんです。

――よく、体を鍛えている人は「昨日の自分を超える」とか「昨日より1kgでも多く挙げる」といったことを目標にしているって聞きます。

横川 昨日より頑張るとか、前回より1kg多く挙げるとか、超当たり前ですもんね。そうしないと、筋肉は大きくならないから。

「2つ、3つ手を出すと、チャンスは回ってこない」

――考え方そのものが超人的ですよね。どこかアニメの主人公っぽい。小さいころからそういう性格ですか?

横川 あんまり変わってないですね…。この道は本当に一生懸命やってきたし、すべてを捧げてやってきたからこうやってお話できますけど、それ以外は本当になんにもやってこなかった。私生活も勉強も。勉強なんて、学校に筆記用具を持っていかないくらい、やってこなかった(笑)。

――そこに能力を全部振り切ったみたいな。

横川 そうじゃないと達成するのは難しい気がする。僕、2つ、3つ手を出すと、チャンスは回ってこないと思っているんです。ひとつのことだけ頑張っていれば神様がちゃんとチャンスをくれる。チャンスって誰にでもあるはずなんですよ、きっと。それをつかめるかつかめないかは、ひとつのことを一生懸命やってるかどうか。僕はそのチャンスをつかむためにやっている。だからほかのことはやらない。

――誰しも人生に保険を掛けるたがるものですが。

横川 それが普通だと思います、絶対。それが頭のいい考え。でも、何かを手に入れるのはそれ相応の覚悟が必要なんじゃないかと。だからこそ、自分に自信があるやつじゃないと難しいとも思う。僕は小学生のときから、「自分は周りとは違う」と思っていたんで。「僕なら、なんでもできる」って。

――そういう自信を保ち続けるのがすごいです。自信を失ったことはないですか?

横川 自信を失うことは…ボディビルに関してはそんなになくて。フィジークやっていた時も、鈴木雅さんとか木澤大祐さんとか、すごいなって思っていたけど、一方で超えられなくはないなとも思っていた。だって、同じ人間ですし。テレビに出るときもそうです。大先輩の前でも緊張しないんですよ。もちろん尊敬はしているんですけど、そこも同じ人間だしって。

――大会前も緊張することはないですか?

横川 しないですね、ボディビルは。昔、野球やってた時は緊張しました。チームプレーになると、自分のミスがチームの勝敗に関わってくるじゃないですか。迷惑をかけたくないから、そういうときは緊張します。自分一人でやるとなると、自分がどれだけやったかだけなので。
後編へ続く/取材・文=西澤千央)

王者の突破力』(KADOKAWA)

 

●よこかわ・なおたか
プロボディビルダー。1994年7月10日生まれ。漫画の登場人物に憧れてトレーニングを開始。16年にボディビルデビュー。キャリアこそがものをいう、という考えが強いボディビル界に風穴をあける活躍を見せ、脚光を浴びる。19年に国内トップを決める「JBBF日本男子ボディビル選手権」で優勝したのち、プロ転向。爽やかなルックスからは想像できないほどのキレッキレの肉体と、天然すぎるキャラクターとのギャップが人気を呼び、さまざまなメディアで活躍。初の著書『王者の突破力』(KADOKAWA)が発売中。

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