EMSトレーニング(電気刺激)とは? 効果は?
ここ数年、SIXPADなど電気刺激でのトレーニング・ダイエットが流行しています。
今回は、EMS(電気刺激)の効果や安全性などについて解説していきます。
目次
1. EMS(電気刺激)とは?
2. EMS(電気刺激)と自分で筋肉を動かす違い
3. EMS(電気刺激)のメリット
4. EMS(電気刺激)のデメリット
5. EMS(電気刺激)は危険なのか?
6. 栄養管理が大切
7. まとめ
EMS(電気刺激)とは?
EMSとは、Electrical Muscle Stimulation の頭文字を取ったもので、筋肉を電気刺激することをEMSといいます。
筋肉は本来、神経からの電気信号を受けて収縮・弛緩しますが、EMS(電気刺激)は外部から人工的に筋肉を刺激し、筋肉を強制的に収縮させることができます。
主にはパッドを筋肉の端と端に貼ってボタンなどで電気刺激の量を調整すればできるので非常に簡単です。
医療の現場でもよく使用されますし、スポーツの現場でも使用されることも多くなっています。
僕の本業は理学療法士ですが、実際、現場でもよく使用しています。
EMS(電気刺激)と自分で筋肉を動かす違い
先ほども記載しましたが、自分で筋肉を動かす場合には、神経からの信号を筋肉に送る必要があります。そのため、筋肉をどの程度動かすか調整することが可能です。
EMS(電気刺激)は、電気の強さによりある程度の筋肉を収縮させる調整は可能ですが、筋肉は与えられた刺激に対して全力で収縮するので細かい調整は困難です。
これは後に記載するメリット・デメリットにもあるように、良い点ばかりではありません。
本来、人間の筋発揮には“心理的限界”というものがあります。
●心理的限界
人間は本来100の力を発揮できるとします。しかし、普段はある程度、力を抑えているので、70~80%程度の力しか発揮しません。
この70~80%の力しか発揮できないことを、心理的限界と言います。
しかし、緊急事態などの場合は100%の力を発揮することができます。“火事場の馬鹿力”というやつです。
筋トレの際に、トレーナーから「ラスト1回頑張れ!」と言われると力が出るのも、心理的限界を超えているためです。
オーバーワークや普段から筋発揮しすぎるとケガにつながるため、心理的限界は存在しています。
EMS(電気刺激)の強度にも寄りますが、この心理的限界を簡単に超えて筋肉の収縮ができるのがEMS(電気刺激)の特徴とも言えますし、自分で筋肉を収縮させるのとの大きな違いです。
EMS(電気刺激)は白筋が主に発達します。赤筋が発達しないわけではありませんが、EMS(電気刺激)では、白筋→赤筋の順で筋肉が動くので、白筋の方が発達しやすくなります。
EMS(電気刺激)のメリット
・心理的限界がない
・頑張らなくても筋肉が動いてくれる
・痩せる
・細かい部分まで鍛えることができる
・心理的限界がない
心理的限界がないので、電気の強さ次第では、筋肉の最大収縮を簡単に起こすことができます。そのため、筋肉の発達が早いです。
自分で筋肉を最大収縮まで使用とすると、雄叫びを上げながら顔を真っ赤にして力を入れるくらいしないといけませんが、EMS(電気刺激)の場合は、ボタン一つでそこまで可能です(家庭用ではここまで筋発揮する電力があるものは少ないと思いますが…)。
・頑張らなくても筋肉が動いてくれる
なんといっても、頑張らなくても筋肉が動いてくれることが最大のメリットかもしれません。パッドを張り付け、ボタン一つで筋肉が勝手に動いてくれます。
もちろん、筋肉が収縮するので血流も良くなりますし、筋肉もキチンと発達してくれます。
本を読みながらでも、ゲームをしながらでも筋肉は動いてくれるので、めんどくさがりにはもってこいかと思います。
・痩せる
EMS(電気刺激)によって筋肉が収縮してくれるので、カロリーも通常通り消費してくれます。さらに、筋肥大が起これば基礎代謝量も増加しますので痩せやすい身体になります。
・細かい部分まで鍛えることができる
通常の筋トレでは、なかなか意識しずらい部分やどうしても代償動作が入ってしまうような部分は、EMS(電気刺激)で収縮の感覚を入れることで力が入れやすくなります。
局所的にEMS(電気刺激)を使用するボディビルダーもおられます。
弱い部分を鍛える・苦手な動きのアシストをするという役割でも使用できるのは大きなメリットかと思います。
EMS(電気刺激)のデメリット
・禁忌がある
・心理的限界を超えてしまう
・疲労感覚がわかりずらい
・動きの学習ができない
・禁忌がある
EMS(電気刺激)は、外部から電気刺激を与えるものなので、禁忌(使用してはいけない方)もあります。
・ペースメーカー使用されている方
・妊婦
・頚動脈洞上の電極設置
・静脈、動脈血栓症もしくは血栓性静脈炎の範囲
・感覚の鈍い部位
などです。
使用するEMSの説明書などに禁忌が載っていますので、必ず確認するようにしないと大きなケガなどに繋がりますので注意しましょう。
・心理的限界がない
心理的限界がないのはメリットでもあり、デメリットでもあります。
心理的限界、つまり限界の筋収縮まで簡単に起こすことが可能なので、筋収縮が強すぎて生じる肉離れなどが簡単に起こってしまいます。
EMS(電気刺激)の強さを徐々に上げれば問題ありませんが、一気に強くすることはケガに繋がりますので注意が必要です。
・疲労感覚がわかりにくい
EMS(電気刺激)を使用している時にテレビを見たり、本に夢中になっていたりすると、いつの間にかEMS(電気刺激)をしている部位が強く疲労していることなどもあります。
EMS(電気刺激)の機械には、タイマーがあることが多いのですが、時間いっぱいすると疲れすぎることもあります。
通常の筋トレでは、疲労を感じながらトレーニングするため無理をしなければオーバーワークになることは少ないですが、EMS(電気刺激)は簡単にオーバーワークになってしまうので注意しなければなりません。
・動きの学習ができない
とにかくダイエットしたい・筋肉をつけたいという場合はあまり問題ないですが、スポーツをされている方などでEMS(電気刺激)を使用する場合には、自分の意志で筋肉を動かなくても筋が発達してしまうので、動きの学習ができません。
例えば、遠投の距離を伸ばしたい人がいるとします。EMS(電気刺激)で筋力トレーニングをして、ムキムキになっても遠投の距離は大きく増加しません。
筋肉は大きくなり、遠投できるポテンシャルはあるかもしれませんが、“投げる動作”がうまくならなければ、筋肉を活かすことができません。
EMS(電気刺激)で筋肉を刺激しながら、動作も交えて動きのトレーニングもしなければスポーツの場面では意味がない場合もありますので注意が必要です。
EMS(電気刺激)は危険なのか?
心理的限界や疲労感覚がわかりにくいというところで、少し怖さを持った方もいるかもしれません。
結論をいうと、知識を持って使用すれば、メリットしかないです。全然、危険ではありません。
心理的限界がないことに関しては、心理的限界を超える筋収縮を与えるEMS(電気刺激)はとても痛いレベルです。
強く筋収縮をするには痛いレベルの電気刺激がありますし、肉離れするレベルの筋収縮は激痛です。
痛みが我慢できる範囲でのEMS(電気刺激)であれば、肉離れなど起こすことは、ほぼありません。
疲労に関してもいきなり長時間するのではなく少しずつ、時間を伸ばしていくようにすれば、オーバーワークにもなりにくいです。
デメリットをなくすために知識を持って、EMS(電気刺激)を使用しましょう。
栄養管理が大切
EMS(電気刺激)で筋トレをしても、栄養状態が悪ければ筋肉は発達していきません。
さらに、EMS(電気刺激)を使用したからすぐに痩せる、ということもありません。
しっかりと栄養管理(摂取カロリーの管理)が必要です。
ダイエットなどの栄養管理についてはこちらの記事をご参照下さい。
まとめ
EMS(電気刺激)は、メリット・デメリットが多く存在します。しっかりと知識を持って使用することで、デメリットはなくなり、安全に使用できます。
EMS(電気刺激)は、トレーニング・ダイエット共に非常に有効に使える道具ですので、今後どんどん流行してくると思います。うまく使用して、トレーニング・ダイエットを効率よく進めていきましょう。
「ASK+room」管理人
理学療法士・パーソナルトレーナー・ダイエット指導も実施しております。
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