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7冠牝馬・ウオッカは「弱かった」のか――。ライバルから逃げ、記憶と記録だけが独り歩き「府中番長」真の評価とは!?

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 牝馬で日本ダービー(G1)を制した伝説の名牝「ウオッカ」は、本当に強いのか――。

 競馬ファンの間で未だに数多く話題になっている「ある意味での名牝」だが、本当のところはどうなのだろうか。最近は牝馬の台頭が目覚しく、そんな疑問がふと生じる時がたまにある。

 64年ぶり、戦後初の牝馬での日本ダービー制覇まではよかったが、続く3歳世代の代表として強豪古馬に挑んだ宝塚記念では1番人気に支持され8着に惨敗。勝ったアドマイヤムーンと7kgも差があった51㎏での出走だったが、何の見せ場もなく大敗した。

 それでも陣営はフランス・凱旋門賞への出走プランを発表。競馬ファンやマスコミを大いに盛り上げたが、右後肢の蹄球炎を発症。わずか4日で回復したものの凱旋門賞出走を断念し、ファンをぬか喜びさせた。この頃からお騒がせぶりが大いにうかがえる。

 秋には宿命のライバル・ダイワスカーレットと決着を着けるために迎えた最後の一冠・秋華賞に挑んだが、あっさり完敗。ライバルに決定的な差をつけられたばかりでなく、同世代の格下の馬にさえ先着を許した3着という結果。牝馬でダービー制覇という偉業は一気にかすむことに……。

 さらに続くエリザベス女王杯では、ダイワスカーレットとの再戦が注目されていたが、レース直前になって右関節跛行の故障が発生。レースの回避が発表されたが、ファンも「故障なら仕方ない」と納得していた。レースは当然ダイワスカーレットが圧勝する。

 しかし、症状が極めて軽かったのか、故障から僅か2週間後のジャパンCへの出走を表明。たった2週間でG1に出走できるほどのコンディションに戻るのであれば、エリザベス女王杯に出られたのではないかという疑問は当然生まれ、ファンからは「ダイワスカーレットから逃げた」という声が上がった。真実は定かではないが、そう思われても仕方がない。

 とにもかくにもジャパンCさえ勝てば、ダービー馬としての威厳は取り戻せるはず。しかし、ここでもあっさりと4着敗退。年末の有馬記念では11着に大敗と、最終的には「当確」と目されていた最優秀3歳牝馬の座さえダイワスカーレットに奪われた。

 なお、その後ウオッカ陣営は極端な”中山アレルギー”を起こし、有馬記念はすべて回避している。ちなみにファン投票で2年連続1位になりながら、故障以外の理由で出走しなかったのは本馬が初めてである。

 これも「逃げた」と思われても仕方ないが、強いて言うなら名誉のための撤退か。

 この頃から、ウオッカはわけのわからない、まるで”ベール”のようなものに包まれ始める。強いのか、弱いのか賛否両論が起こり始めたのもこの頃だった。

 仕切り直しの年明け、メンバーの弱い京都記念から復帰するも6着惨敗。もはやダービー馬の面影すらなくなったウオッカは逃げるようにドバイへ飛んだが、やはり4着に惨敗した。

 転機が訪れた。いや、ウオッカの”自分探しの旅”が終わりを告げたのが、その年の安田記念だった。並み居る強豪マイラーを相手に3馬身差の圧勝。まさに「私、天職見つけました」といったところだろう。

 その後のウオッカは関西馬であるにもかかわらず、東京競馬場に”籠城”。自宅警備員(ニート)ならぬ”府中警備員”となり、現役引退まで東京と海外だけを行ったり来たりする、どこかのセレブのような生活を送る。

 最大のハイライトは、同厩舎のトーセンキャプテンを無理矢理”特攻役(疑惑)”にしてダイワスカーレットに競り勝った秋の天皇賞だ。

 逃げるダイワスカーレットを執拗に追いかけたトーセンキャプテンは14着に大敗したが、その”尊い犠牲”もあってか、ウオッカがダービー制覇後初のマイル以外のG1を獲得。レコードのオマケもついて、多くの競馬ファンから伝説の一戦として評価されている。

 結局のところ、強いのか弱いのかはっきりしないまま競走生活を終えたウオッカ。牝馬でのダービー制覇や2年連続の年度代表馬など、残っている記録が独り歩きしているせいもあり「歴史的名牝」という人もいれば「たいして強くない」という人もいる。

 その真相は今となっては定かではないが、そういった”物議”を生み出せるだけでも、この馬は十分に名牝と言えるのかもしれない。

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