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大口産出国・米国も輸入国へ逆戻り?

原発停止で人気急騰シェールガス、早くもバブル崩壊!?

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 マスメディアもシェールガス熱を煽っている。例えば、3月26日放映の『モーニングバード!』(テレビ朝日系列)はシェールガス特集を組み、

「シェールガス革命で、アメリカの天然ガス価格は6分の1に下落」
「シェールガスを輸入すれば電力料金は値下げできる」
「シェールガスはエネルギーの救世主」

などとエネルギー専門家たちに語らせている。

 しかし、話はことほどさように日本の希望的観測通りに進まないようだ。

シェールガス革命の行方は、まだ不透明

 米国では、シェールガスを含め、天然ガスの輸出には連邦政府の認可が必要。現在、連邦政府が認可している天然ガス輸出プロジェクトは8件あり、認可輸出量の総量は年間約1億トン。国内ガス消費量の2割に匹敵する。このうち、非FTA(2国間以上での自由貿易協定)締結国への輸出許可は1件のみである。

 このように米国が天然ガス輸出を厳しく規制しているのは、同国はもともと天然ガス輸入国だという事情がある。このため、シェールガス革命を追い風に、国内では「輸出を拡大すれば貿易収支の改善と雇用拡大を見込める」との声がある一方で、「輸出により需給が逼迫し、ガス価格の上昇が起こる可能性がある。輸出は当面見合わせるべきだ」との声もあり、米国内では後者の声のほうが高いといわれている。「これまでシェールガス生産量は順調に伸びてきたが、今後も続く保証はない」との懸念が強いからだ。さらに、シェールガス採掘に伴う環境破壊や地震誘発も心配されている。

 シェールガスの生産量増大は、もちろん採掘技術革新の賜物だが、それ以外にもシェールガス革命への期待で膨らむ、バブル的な供給過剰も心配されている。100万BTU当たり2ドル台という現在の価格相場は、シェールガス生産の採算分岐点(4-7ドル台といわれる)を大きく下回っており、ガス自体では採算が取れないと見られている。実際、今年1月、シェールガス米国2位のチェサピーク社は「早期にガス生産量を16%削減する」と発表、同業他社も相次いで生産計画の縮小を発表している。

 また、米国エネルギー省はシェールガス埋蔵量見積もりを10年から11年にかけて2.4倍増としたが、12年は逆に40%以上も下方修正している。これも、開発が進むにつれて埋蔵量の実態が次第に明らかになりつつあることを示している。

 また今年1月、英国オックスフォードエネルギー研究所が発表した、米国の天然ガス輸出入見通しでは、米国のガス生産量とアジアのガス消費量を4本のシナリオで試算している。それによると、うち3本では全期間を通じて米国は純輸入となり、残り1本のシナリオでも、アジアへ輸出できるのは数年間だけで、再び輸入国に逆戻りするという結果になっている。

BusinessJournal編集部

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