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ダマされないための「儲けのカラクリ」 第4回

なぜ電通、博報堂は自社のテレビCMしない?視聴率のカラクリ

文=坂口孝則

 ところで、視聴率1%に一喜一憂し、宣伝枠の価格が変わる状況は笑うべきか、あるいは茶番として危惧すべきだろうか。少なくとも、喜劇か悲劇のどちらかには違いない。

テレビ局は、ぼくたちをバカにしているのか?

 現場のテレビマンは、そのような状況に翻弄されてはいる。ただ、私は彼らに単純にエールを送りたいわけではない。視聴率というものに右往左往させられて、時間が不足している影響か、あるいは制作費が少なくなった影響か、あきらかに番組のレベルが低下しているように私には思われる。

 私もテレビに加担しておいてなんだけれど、最近の番組の大半は芸人を集めて与太話をするだけ。芸人いじめの公開放送か、あるいは安上がりなクイズ番組。まともなビジネスマンであれば、視聴に費やす時間はないだろう。

 新聞のテレビ欄を見ていても「!」とか「!!」といった記号があまりに目につく。中身がないから、せめて「!」や「!!」でごまかそうとしているようにしか思えない。そもそも記号の多用は、作り手の工夫のなさを示しているといえないか。

 そう思って調べてみた。 

 1960年5月1日から10年同日まで10年ごとに、5月1日付朝日新聞東京版キー局のテレビ欄で「!」「!!」の数をかぞえた(「!!」は2個とカウントした)。

・1960年5月1日:合計1個(フジテレビ・1個)
・1970年5月1日:合計14個(日本テレビ・3個、TBS・2個、フジテレビ・3個、NETテレビ・5個、東京12チャンネル・1個)
・1980年5月1日:合計35個(NHK・1個、日本テレビ・13個、TBS・7個、フジテレビ・6個、テレビ朝日・8個)
・1990年5月1日:合計58個(NHK・1個、日本テレビ・9個、TBS・18個、フジテレビ・6個、テレビ朝日・18個、テレビ東京・6個)
・2000年5月1日:合計60個(NHK・2個、日本テレビ・13個、TBS・7個、フジテレビ・17個、テレビ朝日・18個、テレビ東京・3個)
・2010年5月1日:合計63個(NHK・8個、NHK教育・5個、日本テレビ・12個、TBS・7個、フジテレビ・7個、テレビ朝日・20個、テレビ東京・4個)

と、60年にはわずか1個だった「!」「!!」の数は、50年を経て63倍に至った。もちろんこれは、5月1日のみを対象とした調査ではある。ただし、この増え方は大き過ぎるという実感は、多くの視聴者に共有いただけるものだろう。

表面だけ「!」と飾って、中身のない番組が増加

 番組内容の中身に自信があれば「!」「!!」など使わないだろう、とはいわない。しかし、この「!」「!!」の増加と、テレビ人気の反比例を考えるに面白い。表面だけ「!」と飾っても、視聴者はその中身のなさに気づく。企画力が低下したためか、中身のない番組が増え、テレビ離れが加速していった。

坂口孝則

坂口孝則

関西の某国立大学卒業後、携帯電話メーカーへ。購買部に配属される。バイヤーとして担当したのは200社以上。株式会社アジルアソシエイツ取締役、未来調達研究所取締役(現職)。バイヤー同士の情報交換ができる場、購買ネットワーク会発起人。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。メルマガ「世界一のバイヤーになってみろ!!」代表執筆者。コスト削減のコンサルタント、調達業務研究家。物流コンサルタント。
未来調達研究所株式会社

Twitter:@earthcream

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