だから、人が定着しないポジションにコロコロ人をすげ替えて、そのたんびに金をふんだくろうと企む紹介会社があるのも、そこからのおこぼれにあずかろうとする不届き者上司が存在するのも、まんざら噂レベルじゃなさそうなのだ。香山さんが続ける。
「そのパワハラ上司自身が、3~4年おきに転職を繰り返す『転職ゴロ』みたいな人だったので、『自分がクビになったらなったで、次に移るまで』とタカを括っていたのかも。私が引っかかった”悪徳”人材紹介会社の転職案件も、今から考えると『おとり』みたいなもので、そもそも存在しなかったのかもしれません」
転職活動していないのに、勝手にエントリーさせられた
こんな被害ケースもある。
金融機関の営業マン澤田雄太さん(仮名・35歳)は、「転職活動もしていないのに、勝手にほかの企業にエントリーさせられていた」という驚きの過去を持つ。
「数年前の話ですが、ある人材紹介会社から電話がかかってきて、『あなたに興味を持っている会社がある』と言うんです。その時、僕は自社HPの『優秀者インタビュー』に出ていたので、その内容が先方の気に入ったっていうんですよ」(澤田さん)
ヘッドハントされる――「選ばれる」気持ちはプライドをくすぐられるから、悪い気はしない。
「そこで、人材紹介会社の人が『履歴書を書いてくれ』というんで、つい書いて渡しちゃったんですよ。でも、転職する気なんてサラサラなかったので、エントリーしないでくれと念を押したのに……」(同)
その約束はアッサリ破られ、人材紹介会社の担当者は、複数の企業に澤田さんの履歴書を配り歩いていた。その事実は、偶然判明したとう。
「友達の人事マンがたまたま、僕の履歴書を見たって電話してきたんです。あの時ばかりは、本当に驚きましたよ」(同)
当然、澤田さんはこの行為に激怒。人材紹介会社の担当者を呼び出し、その場で「登録」を外させたという。仮に、会社に「澤田は転職活動している」なんて誤解が広まっていたら、「出世どころか延命までアヤしくなっていた」とボヤく。友達からの情報がなければ、今頃どうなっていたか、わかったもんじゃない。
いきなり音信不通に……
ありがちなケースとしては、こんな例もある。システム会社のSE、花田正義さん(仮名・32歳)の話だ。