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裁判所の削除命令も知ったこっちゃない?

Googleのせいで、勝手に犯罪者にされ会社クビ?

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 ここで最後の疑問、東京地裁の差し止め命令は、なぜ実行されないのかという話になる。東京地裁は、被害が重大であり即刻削除を求めるという、表示の差し止めを求める仮処分申請を認めた。しかし相手は日本法人であるグーグル株式会社ではなく、アメリカのGoogle本社だ。当初、日米両者を相手に対応希望が出されていたが、日本法人には対応権限がないと主張された結果、アメリカ本社だけを相手取った訴えになっているのだ。

 そして米国本社は、2つの点で東京地裁の仮処分に従わないと回答している。1つは、そもそもプライバシーの侵害ではないという主張だ。機械的に抽出された単語が並んでいるだけの状態はプライバシー侵害には当たらないという。つまり、自分は単なる誘導者でありプライバシー侵害の主体ではないということだろう。そしてもう1つは、アメリカ企業としてアメリカの法律で違法だということにならなければ対応できない、という主張だ。

 これがどこまで通る言い分なのかはわからないが、現実に仮処分後3カ月近くが経過しても削除は実行されていない。原告の日本人男性は表示差し止めに加えて損害賠償を求める訴えも起こし、さらに強く対応を迫る構えだ。ちなみに、Googleのプライバシーポリシーやコンテンツ削除方法等でも、Googleサジェストの語句削除に触れている部分はない

自分が被害者になったらどうする?

 この話を「不幸な人もいるものだ」と他人事のようにとらえている人は多そうだが、実はあまり他人事でもない。なぜならSNS全盛の今、誰かのちょっとした「うっかり」や「勘違い」が大変な勢いで拡がってしまうからだ。

 本当に社会的に重大な悪事をはたらいたのならば、何を言われても自業自得という考え方はあるだろう。しかし未成年の飲酒や喫煙といった、違法ではあるが一生間違いを犯した人間として中傷され続けなければならないほどの重罪ではないというものもある。中には、完全な人違いという例もある。たまたまニュース映像にそれらしい雰囲気で映り込んでいたというだけで、身元を探られた人もいる。

 そして、たとえ勘違いや小さな問題でも、一度書き込まれた記事は簡単には消えない。話題になればTwitterで気軽に拡散される。話している人間にとっては噂話、世間話でしかないだろうが、その発言はログになってインターネット上に残り続ける。掲載ページそのものが消えてもキャッシュやログ保存サイト等に残り続け、さらには見た人の記憶に残る。事ある毎に取り上げられ、いつのまにか嘘や誤解が真実であるかのように語られたりもする。

 ちょっと運が悪ければ、規模こそ違えど、第2の「日本人男性」の誕生だ。事実にしろ虚偽にしろ、名誉毀損で訴えることはできるはずなのに、訴える相手すら定かではない。唯一の手がかりになりそうなGoogleは、温かいとはいえない対応をしている。もし自分が被害者になってしまった時、どうしたらいいのか。この件を見守っていれば、答えが見えてくるはずだ。
(文=エースラッシュ)

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