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『「有名人になる」ということ』好評記念対談(2)

【対談】勝間和代・安藤美冬「なぜバラエティ番組に出る?」

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【対談】勝間和代・安藤美冬「なぜバラエティ番組に出る?」の画像1勝間和代氏(左)と安藤美冬氏(右)

「ブレイクするための確率を上げるにはどうすればいいのかを周到に考え、それに基づいて行動していく」
「『有名人になる』という取り組みに臨むにあたって、専門のPR会社さんにもついてもらった」

 経済評論家で「私塾『勝間塾』」を主宰する勝間和代氏と、今、企業からビジネスの依頼が引きも切らないノマドワーカー・安藤美冬氏。そんなおふたりが語り合った、対談企画第1回目は、大きな反響を呼んだ。

 第2回目の今回は、「やりたくないことから考える」「独立を可能にさせる75%ルール」「”あいだ”を埋める情報発信術」などについて語ってもらった。

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――安藤さんは、「とりあえず依頼されたことに真摯に対応していく」「そうすることで、次第に仕事の輪が広がっていく」といった働き方・生き方もひとつの方法だと、いいます。

【対談】勝間和代・安藤美冬「なぜバラエティ番組に出る?」の画像2安藤美冬氏

安藤 最近、特に『情熱大陸』(TBS系)に出演して以降、大学生や若い会社員の方々から、「就職すればいいのか迷っている」「これから自分はどうやって働いて、生きていくべきなのか」といった内容の相談をされることが非常に増えたんです。また、そういったテーマで講演を依頼されることも多くなりました。そんな場面で、私がはっきりと「実はやりたいことなんて、大してないんです」なんて言うと、非常に安心されたり、勇気を持ってくれる方がけっこういらっしゃるんですね。そういう方たちの気持ち、とてもよくわかるんですよ。なぜなら私自身が、10代の後半から10年くらい、ずっと自分探しをし続けていたから。

「自分の価値ってなんだろう?」
「自分のセールスポイント、ストロングポイントってなんだろう?」
「本当にやりたいことってなんだろう?」

……みたいなことをいつも考えていた。で、本を読んだり、セミナーや講演に出かけて行ったり、世界中を旅したりしながら、一生懸命探しても、結局見つからなかった。そのことが強烈なコンプレックスだったんですよ。そこで独立を考えていたころに半ば居直って、「よし、やりたいことがないんだったら、やりたくないことから考えよう」という方向に視点を変えたんです。

勝間 そういう発想の転換は、とてもいいことですよね。

身の丈に合った仕事を細々と

安藤 例えば、

「スーツは着ない」
「自分から営業活動はしない」
「ひとつの仕事にとどまらない」
「ルーティンワークはやらない」

などなど、やりたくないことをひとつずつ整理していくところから入っていきました。そうして残ったものの中で、自分の世界観を再構築していった結果が、今の状態といえます。ソーシャルメディアでセルフブランディングをして、複数の肩書で多様な仕事をやる、というのは「やりたくないこと」を整理した結果にすぎない、という感じです。さらに、仕事をするにしても巨大なビジネスを展開させることを、いきなり目指すのではなく、本当に人と人とのつながりでチョコチョコやっていくような仕事を大事にしていこうと。経済的に何千万円、何億円を目指すのではなくて、月に2万5000円のデスクを借りて、自分の身の丈に合った仕事を細々とやっていく、みたいなことでいいんじゃないのかなって。

独立の基準

【対談】勝間和代・安藤美冬「なぜバラエティ番組に出る?」の画像3勝間和代氏

勝間 私は以前からよくお伝えしているのですが、「月に50万円の収入を得る自信があるなら、独立しちゃって大丈夫ですよ」という話をするんです。大体それくらいが目安になるかなと。30万円だとちょっと不安ですけど……。

安藤 はい、おかげさまで今はそのラインをクリアできていますが、最初は全然ダメでしたね。半年間、無収入でしたから、貯金を切り崩す生活をしていました。

勝間 たいてい半年から1年は仕事も立ち上がらないんで、その期間の生活費プラスアルファは事前に稼いでおきましょう、という考え方ですね。もうひとつの役立つ考え方として、収入の25%引きで暮らすように生活設計すればいいんですよ。要は、収入の75%で暮らすようにして、25%は貯蓄に回すようにするわけです。そうすると、3カ月ごとに1月分の生活費が貯まっていく計算になります。これを1年間続ければ4カ月分の生活費が貯金できますから、3年やれば、ほぼ1年分の生活費を蓄えられるんですね。私はこれを「75パーセントルール」って呼んでいて、若い人にお勧めしているんです。例えば、働いているうちに昇給した分も、全部その積立貯金に回していけば、さらにお金が貯まっていきます。

安藤 勝間さんがご著書の中で「自己投資は10%」と書かれていて、あれも実行しているんですよ。

勝間 「全時間の30%、全収入の10%を将来への投資に使う」ですね。この割合は、とてもお勧めです。

無収入生存月数とは?

安藤 あと、明確にやりたいことがないまま独立するのは、非常に珍しいケースだと思うんですけど、3年で芽が出ないか、暮らすことがどうしても難しくなったら再就職をしようと決めていました。会社員時代にいろいろな経営者の方に名刺を渡したりして、3000人くらいの人に会っていたんです。その中で、どこかしら拾ってくれる会社はあるだろうと。私の想定している必要最低限の生活費って、20万から25万円なんですね。それほど高くないアパートに住んでいて、酒もタバコもやらないし、派手な遊びもしない。本当に地味な生活です。そういうことを踏まえて、1カ月25万円かかるとして、3年間あまり収入がなくても、なんとか暮らしていけるかなと。

勝間 私がよく「無収入生存月数」と言っている考え方ですね。

安藤 はい、ひとまず1000万円強の蓄えがあれば、3年は踏ん張れるはず。で、3年でひとつも仕事がなく、完全に無収入という状況はさすがに考えられなかったので、意を決して会社を飛び出したんです。

――勝間さんの近著『「有名人になる」ということ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、ある意味、これまでの総括というか、ひとつの区切りとなる本なのかな、という印象を持ったのですが、今後の勝間さんのご活動は、これまでと少し変わった方向性になるのでしょうか?

勝間 08~09年は、いわゆる市場のニーズを意識しながら、求められたこと、与えていただいた機会にできる限り応えてみよう、という方向で動いたんですね。一方、10~11年にかけては、その逆──自分のエリア、自分の得意領域みたいなところにこだわってみたんです。両方をやってみて、それぞれの良さと悪さ、メリットとデメリットみたいなことがわかったので、12年以降はその中庸を意識してみようと考えています。例えばマスメディアに出るときに、私はビジネス系の企画や番組に限定していたんですね。ところが現在、ビジネス系にこだわってる方って、あまりマスメディアで見かけないんですよ。つまり、チャネルとして合ってないんですね。そして、もしマスメディアに出るのであれば、バラエティに振ってしまったほうがいいかも、と気づいたんです。その中で自分が発信したいメッセージ、例えば「男女共同参画」とか、「自分の頭でモノを考えるロジカルシンキング」とかを、上手に織り交ぜながらしゃべらせてもらう。そういう方向から攻めたほうが、マスメディアというチャネルの活用方法としては正しいだろうと。

知見のリレー

――メルマガや塾の運営なども、なさっていらっしゃいますね。

勝間 ええ。それから、コアファンに向けてメルマガの配信や「勝間塾」という学びの場所を提供しているのですが、最近はそれらのサービスに、時間と知見の多くを割くようにしてします。なぜなら、そこに集まってくださる人たちが成長してくれることが、自分にとってのいちばんの投資だからです。私の場合でいうと、神田昌典さん(経営コンサルタント。『2022―これから10年、活躍できる人の条件』『非常識な成功法則』など、ビジネス書のヒット多数)に育てていただいた、という思いがある。神田さんに、すごく恩を感じているんです。神田さんが育てた人間は、それこそ何十人、何百人といて、神田さんの教えを胸に、さまざまな場所で活躍されています。そのひとりである私が同じようにして何十人、何百人と後進を育てていくと、思いや教えはどんどん広がりますよね。私は神田さんと5つくらい年齢が違うんですけど、私のメインターゲットっていうのは、私より5つくらい下から、もう少し下の人なんですよ。だから、そうやって5~10歳下の人たちに知見をリレーしていくと、何年後かに、その時代に最適化した形で受け継いだメッセージを、さらに下の世代に届けてくれる人が出てくるんじゃないか……という仮説を持っているんです。そのようにして、伝統芸能ではないですけど、思いや知見を後の世代に受け継いでいけたらいいなと考えています。一方、政策提言は変わらず続けています。自転車のガイドライン整備とか、社会資本整備委員会において道路の予算配分とか、男女共同参画における法制の準備とか。そちらの仕事にも、週に2日くらい時間使っていますね。

――先ほどのお話の中で「中庸を目指す」とおっしゃっていましたが、12年は新たなブルーオーシャンを目指す、新機軸に取り組んでいく、ということでしょうか?

勝間 まあ、仕掛けというほどではありませんが、例えば私たちの身近な問題……医療問題とか健康問題に関して、非常に両極端な情報しか出てこないんですよ。以前、コンサルティングファームや金融に勤めていたころから、それをものすごく感じてたんですね。専門家の語る非常にわかりにくい情報と、素人のトンデモ情報しかなくて、ちょうどいいバランスのもの、”あいだ”に当たるものがない、と。だから、その”あいだ”を埋めるものとして、『お金は銀行に預けるな』(光文社)という本を書いたんです。それと同じような分野がほかにもたくさんありますから、そういう領域に関してメディアを活用するなり著作を発表するなりして、コツコツと、いわゆる正しい情報というか、メディアリテラシー的に中庸のものを発信していければと考えています。やっぱり私は根がコンサルタントなんですよ。コンサルタント的なモノの見方、考え方を提供していくことが、誰かのために、いちばん役に立つのかなと、あらためて思っているんです。その第一弾としては、健康のことをテーマにした本の企画がすでに2冊ほど通っているので、それを順番に書いていく予定です。

※(3)へ続く

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●勝間和代(かつま・かずよ)
1968年東京生まれ。経済評論家、中央大学ビジネススクール客員教授。早稲田大学ファイナンスMBA、慶応義塾大学商学部卒業。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得、大学在学中から監査法人に勤務。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。現在、株式会社監査と分析取締役、内閣府男女共同参画会議議員、国土交通省社会資本整備審議会委員、中央大学ビジネススクール客員教授として活躍中。少子化問題、若者の雇用問題、ワークライフバランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野で発言をしており、ネットリテラシーの高い若年層を中心に高い支持を受けている。

●安藤美冬(あんどう・みふゆ)
株式会社spree代表取締役社長、自分をつくる学校学長。1980年生まれ、東京育ち。
慶応義塾大学、集英社を経て11年1月独立。ソーシャルメディアでの発信とセルフブランディングを駆使し、複数の仕事、複数の肩書で仕事をする独自のノマドワークスタイルは、「一切営業することなく仕事をするフリーランスの女性」としてジャーナリスト佐々木俊尚さんに紹介されるほか、『情熱大陸』『ニッポンのジレンマ』朝日新聞などのメディアでも多数取り上げられる。書籍の企画、イベントプロデュース、野村不動産、リクルート、東京ガスなど企業が参画する「ポスト団塊ジュニアプロジェクト」のアドバイザリー業務、自らが学長を務めるセルフブランディングをテーマとした「自分をつくる学校」の運営など、多岐にわたる仕事を手がけ、新しいワーク&ライフスタイルのオピニオンリーダーとしての活躍が期待されている。

BusinessJournal編集部

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